現時点での未来予測は 今後 どんどん変化して行くだろう。
2年前コロナ・パンデミックがこれ程までに私たちの社会を
変えてしまうなど、誰が予測できたのだろう?
ビルゲーツは早くから予想していたが半信半疑だった。
未来は現在に生きる私たちの意思次第である程度は
変わって行く。SDGsの17項目は、画期的で示唆に富み、
世界で対応策が検討され、試行錯誤を繰り返し見直しながら
世界中で熱心に対応している。
このままでは生態系もダメージを受け、自然災害も年々
悪化が激しさを増し、世界の環境問題は無視できないレベル
まで来てしまった。
地球は確実に住めない星に一歩一歩近づいていることは
たぶん間違いないだろう。
他の星に移住しなければならなくなる未来も
やってくると思われ、すでに対応を考える人々は
イーロンマスクをはじめ科学者は予想を繰返している。
SDGs17項目は それなりの効果はあったと思う。
人類が未来を良い方向にもっていく可能性の一端を垣間見た気がする。
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さて「2030未来予測」をざっとおさらいしよう。
次に現在20歳の若者が50歳になる2050年
当然 私は既にいない、現在の私や私たちに、何が出来るか
判らないが 娘たち孫たちに、友達や仲間たちと一緒に考えよう。
バトンタッチの時を迎えている。
少しでも役に立つことをやっておきたい。
本当の人生はこれから始まるんだ!
と自分自身に、友達にも宣言した。
次に2100年、2200年の現在の予測を見てみよう。
それぞれ有識者や権威ある人々の予測。
(海外の人達の予測も調べてみよう)
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★1★ 2030年 未来予測 (落合陽一)
SDGs
今から10年後の2030年、世界と日本はどうなっているのだろうか?様々なテクノロジーが進化した世界にはなるはずだが、それを推測するのは容易ではないだろう。
一方で、地球と文明の“持続可能性” には、先の見えない不安要素も多い。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「現在のペースで二酸化炭素が排出され続けた場合、2030年から2052年の間に1.5度※1、2100年には4度程度まで上昇するシナリオ※2」もありうると警告する。また、他にも、世界的な格差社会の広がり※3や、日本では少子高齢化社会が本格化※4するといわれている。
こうした“曲がり角”を迎える時代に、どうすれば近未来予測ができるのか。『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』(SBクリエイティブ)を上梓した落合陽一氏によれば、「これからの世界について考える上で、重要な鍵となる国際的な枠組み」があるという。
それが、タイトルにもある「SDGs(エスディージーズ、Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」だ。
2015年の国連サミットで採択された「SDGs」とは、各国政府が国連やNGO、さらにはグローバル企業を筆頭とする産業界とも一丸となって掲げる、世界を変えるための共通目標であり、具体的には“2030年までに達成すべき17の目標”だ。
17項目には、気候変動対策やクリーエネルギーの推進だけでなく、貧困・飢餓の撲滅、人種・ジェンダーの平等、教育なども含まれている。
そして、2030~50年頃までの近未来における世界情勢と日本を、SDGs、つまり、持続可能性という観点を土台に含めながら、テクノロジーと人口、貧困と格差、環境問題と企業、SDGsとヨーロッパの時代…といったテーマ別に予測・解説するのが本書なのである。
では、SDGsを土台にした“未来望遠鏡”には、どんな世界や日本の姿が映るのだろう? 本稿では多くの人の関心が高い「テクノロジー」について紹介しよう。
例えば、ロボティクス医療の高度化、iPS細胞による再生医療、ゲノム編集技術等、医療分野における様々な明るい未来予測が本書にある。
これらが実現することで、SDGsの目標のひとつ、「すべての人に健康と福祉を」も同時に達成できることになる。
また本書では、世界的な潮流を予測する指標を見比べながら10年間で5つの「破壊的テクノロジー」(社会を一変させるような影響力を持つ技術)を紹介する。それが、①AIなど機械学習関連技術領域、②5G、③自律走行(自動運転)、④量子コンピューティング、⑤ブロックチェーンである。
ブロックチェーン技術は今後、フィンテック(金融業界)だけでなく、食品・食糧に関するイノベーションにも関わると、著者は期待する。
例えば、2020年代にはブロックチェーンによる食品管理が始まり、IoTデバイスやAIによる予測と最適化などと連動しながら生産量・流通量をコントロールすることで、フードロスをなくし、食品の経路追跡であるトレーサビリティも向上し、環境と健康をこれまで以上に意識した食生活が送れるようになるという※5。
また、自動走行は農業機器にも普及し、IoT化された「スマート農業」も進化するという。これら食品・食糧に関するノウハウを国内で生かし、さらに途上国などに提供することで、SDGsの目標の第1番目と2番目に置かれた、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」の達成にも貢献することができそうだ。
一方で、少子高齢化と貧困化に対する懸念が大きい日本では、2035年前後に地価の大暴落が予測されているというデータがある※6。この時期、団塊世代の鬼籍入りによって土地や家屋の相続が相次ぐものの、子供世代が相続税を払えずに多くの不動産が売りに出されるからだ。
その結果、30年代の日本の不動産事情は、大きな変化にさらされる可能性が高いという。
さて、これらは本書のほんの一例である。この他にも多岐にわたるテーマでの先端情報に基づく未来予測が展開されている。AIによる“職業淘汰”に関する著者の見立ては、多くの人にとって参考になるだろう。
タイトルで「世界地図帳」と銘打つだけに、各章には様々なデータが地図やグラフ、年表化され、私たちの理解をサポートしてくれる。そして本文の後には、各章ごとに専門家との対談コーナーが用意されている。この対談があることで、視点を変えながらより立体的に各章のトピックスが学べるようになっているのだ。
ちなみに、貧困と格差をテーマにした第2章、SDGsとヨーロッパの時代の第4章では、対談相手として池上彰氏が登場する。すべての対談が色濃い内容だが、人気論客二人の顔合わせというのも、本書の読みどころのひとつだろう。
ぜひ、“持続可能性”ということを意識しながら、本書を通じて落合氏の思い描く2030年以降の世界を一緒に探求してみてはいかがだろうか。
文=町田光
※1 IPCC, Global Warming of 1.5 ºC Special Report Summary for Policymakers, 2018[https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/sites/2/2019/05/SR15_SPM_version_report_LR.pdf](最終検索日:2019年10月14日)
※2 Intergovernmental Panel on Climate Change, Climate Change 2014 Synthesis Report, 2015﹇https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/05/SYR_AR5_FINAL_full_wcover.pdf﹈(最終検索日:2019年10月1日)
※3 ブランコ・ミラノヴィッチ著 立木勝訳『大不平等―エレファントカーブが予測する未来』(みすず書房、2017)
※4 リクルート・マネジメント・ソリューションズ「2030年、実に人口の1/3近くが65歳以上の高齢者になる」[https://www.recruit-ms.co.jp/research/2030/report/trend1.html](最終検索日:2019年8月17日)
※5 5in5(IBM リサーチ)2019[http://www.research.ibm.com/5-in-5/?source=social](最終検索日:2019年9月24日)
※6 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」[http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2013/gaiyo_20130115.pdf](最終検索日:2019年8月16日)
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★2★ 三菱総研 未来社会構想2050を発表
2019.10.11
【ニュースリリースの訂正とお詫び】
10月11日に発表しました本リリースの内容に一部誤りがあり、10月25日に訂正させていただきました。
皆さまには大変ご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
本ページに添付しているpdfは訂正版に更新しております。
詳しい訂正内容はこちらの正誤表をご覧ください。
要旨
総論(世界のトレンド): 2050年に向けた二つの世界と六つのトレンド
一方、2050年までの世界経済を展望すると、多極化が一層進展することが予想される。米中に加えてインドなどの新興経済圏が台頭し、大国間の覇権争いが激しさを増していく可能性もある。仮に「豊かで持続可能な世界」が実現されなければ、世界の分断が進展するとともに、国際ルールに基づく自由で開かれた国際経済システムは形成されず、気候変動への取り組みなどの国際的な合意形成も困難となろう。
では、目指すべき世界の姿を追求する上で、押さえておくべき世界の潮流をどう見たらよいか。デジタル技術は国際社会、政府、企業、個人の各レイヤーでさまざまな変革をもたらすことが予想される。以下では、これらの世界の潮流変化を六つのトレンドとして描写する。
トレンド1:デジタル経済圏の台頭
2050年にかけて、プラットフォーマーなどが発行するデジタル通貨や、それにひもづく経済活動が拡大し、デジタル経済圏が形成される。世界中で形成されるデジタル経済圏は、物理的な制約を受けないため、急速に成長し、企業の活動や個人の生活に深く根差すものとなるだろう。
トレンド2:覇権国のいない国際秩序
国際社会では絶対的な覇権国のいない世界が実現する。2030年頃には、中国の経済規模が米国に並ぶ可能性は高い。その後2050年にかけては、米中経済がともに世界のGDPシェアを落とし2割台へ低下する一方、インド経済の台頭・拡大が本格化する。その結果、米中印で世界の半分のGDPを占めるが、いずれも絶対的な覇権国になり切れない状況が続くであろう。
トレンド3:脱炭素を実現する循環型社会
デジタル技術のさらなる普及は、循環型社会の実現を後押しする。技術による変革と、ビジネスモデル・市場構造の変革は、地域社会で小型分散型エネルギー供給システムなどを実現させる。結果として、エネルギー面では太陽光や風力といった再生可能エネルギーを軸とした需給構造の構築が、また資源面ではリサイクル・代替が加速する。
トレンド4:変容する政府の役割
デジタル経済圏の台頭は、政府の役割にも影響を与える。既存の行政サービスは極限まで効率化が求められる一方、国際的なルールの策定や順守体制の構築、デジタル経済圏の拡大にともなう新しい環境整備、経済格差に対するセーフティーネットの提供などで、政府の役割が拡大しよう。
トレンド5:多様なコミュニティが共存する社会
デジタル技術による距離・言葉の壁の撤廃などの変化は、コミュニティの交流を促進する面がある。一方、デジタル空間中で議論や主張をする際には、フィルターバブル※1やエコーチェンバー※2のようなコミュニティの分断を深める特徴があるため、政党や宗教などのコミュニティ間では分断が深まる恐れがある。
トレンド6:技術によって変わる人生
個人の人生も大きく変わる。さまざまなイノベーションの実装に伴って、経済活動の半分以上はデジタル経済圏に関わるものになり、家事の自動化や通勤時間が減ることで自由時間が増える。さらにライフサイエンスの進歩に伴って、健康寿命も延伸される。これらにより人生の豊かさは向上するとともに、人々の豊かさの尺度も多様化していく。
日本:「豊かで持続可能な社会」の実現に向けて
2050年に日本が目指すべき未来は「豊かで持続可能な社会」と考える。ここでの「豊か」とは、経済的な豊かさのみならず、人との関わり、働きがい、健康など、総合的な暮らしの満足度を示す。実現に必要な取り組みは次の五つだ。
1. 日本の良さ・強みを活かした世界への貢献
世界の多極化やデジタル経済圏の拡大が進む中で、新たな国際秩序の形成が求められる。地球規模での課題解決に向けて、世界全体での「共通利益」を示し、各国の利害を調整するリーダーが必要になる。
戦後の国際社会への貢献を通じてソフトパワーを培ってきた日本は、他国からの自発的な支援を集め、未来の多国間の枠組み作りに向けて主体的に役割を果たしうる存在だ。他にも、成長と安定を両立する社会モデルや、社会課題を解決する技術など、日本の良さ・強みが豊かで持続可能な世界の実現に貢献できる面は大きい。
2. デジタル×フィジカルで新たな付加価値を創造
日本の匠の技術などフィジカル面での強みをデジタル技術との掛け算で強化することで、環境や防災など世界の社会課題をイノベーションで解決するポテンシャルは大きい。また、デジタル技術の普及による生活コストの低下から、家計支出に占める生活必需品のシェアは低下する。その分、個人の生活を豊かにする価値追求型消費のシェアは、現状35%から50%まで拡大していくだろう。消費者のニッチで多様なニーズに応える多品種・小ロットの高付加価値製品・サービスを世界にも提供できれば、大きな付加価値を生む。
その実現には、先鋭的な価値を創出する中小企業と、豊富な経営資源を有する大企業の融合が重要になるほか、人的資本の強化、デジタル技術を活用した経営高度化などを通じた企業競争力の強化が急がれる。
3. 地域マネジメントを強化し、持続可能な地域社会へ
デジタル技術が深く浸透した社会では、住む場所が通勤距離や買い物の利便性に縛られにくくなる。仕事と生活環境の両立が可能になり、地方の中核市などに人口が集積しやすくなる可能性が高まる。当社試算によると、地方の県庁所在市やその他の中核市※3の人口シェアは現状の12%から17%に拡大する見込み。
こうした追い風を活かし地域社会の持続可能性を高めるには、中核市などを中心とする圏域単位での地域マネジメントが重要になる。圏域内の市町村の特性に応じた機能分化と連携により、行政サービスの効率化・高度化とともに、個別市町村の強みをつなげ、地域の魅力を高める相乗効果も期待できる。広域の地域単位で人材育成や研究開発など長期的な成長の種まきも可能になる。デジタル技術はより広域での地域マネジメント実現を後押しするだろう。
4. 多様な価値観に基づく「自分らしい」人生を実現
人間中心の技術活用を進めることで仕事や家事は大幅に効率化され、自由に使える時間は増えるであろうが、それだけですべての人が、多様な価値観に基づく「自分らしい」人生を実現できるとは限らない。AI・ロボット化、労働市場のボーダーレス化が進展し、人間に求められるタスクはより創造的な領域へとシフトしていくなかで、個人の能力と所得の連動性が一段と高まる厳しい環境も予想される。
デジタル技術の浸透による過度な経済格差を是正するには、社会のニーズに応じた個人の継続的なスキルアップを促す「FLAPサイクル※4」の実践が欠かせない。加えて、経済格差が教育格差や健康格差を通じて増幅・固定化されない社会の仕組み作りも肝要だ。
5. 人生100年時代を支える財政・社会保障制度へ
未病・予防への取り組み強化やライフサイエンス技術の発達による健康寿命の延伸は、人々のQOL(生活の質)を高める上で極めて重要だ。2050年までに健康寿命は約7歳伸びる可能性がある。ただし、財政面から見れば、健康寿命の延伸だけではむしろ社会保障支出が拡大し、財政の持続可能性が危ぶまれる。
健康寿命の延伸と財政の持続可能性を両立するには、高齢者が社会で活躍できる環境整備や、社会保障制度の抜本的な見直し、社会保障分野以外での行政コストの見直しもあわせて進める必要がある。改革により未来への投資余地が拡大すれば、人生100年時代における人々の「人生の質」が高まるとともに、日本経済・社会全体の持続可能性も向上する。
世界のトレンドをチャンスに変え、これら五つの取り組みを包括的に実行することができれば、2050年の日本は社会課題を乗り越え、「豊かで持続可能な社会」を実現できるだろう。
※1:検索エンジンやSNSで実装されている検索結果や表示内容のユーザー別の最適化によって、ユーザーがアクセスする情報が偏ること。
※2:自身と同じ意見の人々ばかりで形成されたコミュニティ内でコミュニケーションを繰り返すことで、その意見が強化されたり、意見の偏りが増幅されたりする現象。
※3:人口20万人以上で必要な行政処理能力を有している58市が中核市として指定されている。
※4:FLAP(飛翔)サイクルとは、当社の造語で、個人が自分の適性や職業の要件を知り(Find)、スキルアップに必要な知識を学び(Learn)、目指す方向へと行動し(Act)、新たなステージで活躍する(Perform)という一連のサイクルを指す。
未来社会構想2050
お問い合わせ先
内容に関する
お問い合わせ
株式会社三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
政策・経済研究センター
Tel:03-6858-2717
E-mail:pecgroup@mri.co.jp
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★3★ 2100年未来予測
科学界の「インサイダー」が予測する
2100年の未来
『2100年の科学ライフ』
東嶋和子 (科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師)
コンピュータ、人工知能、医療、ナノテクノロジー、エネルギー、宇宙旅行。それぞれの分野で、過去から現在までの技術を総括し、2100年までにどう進歩するのかを描き出している。
こうした未来予測本はこれまでも数多くあり、世界的ベストセラーになったものも少なくない。しかし、その多くは歴史家や経済学者、社会学者、SF作家、あるいは「未来学者――肝心の科学の知識を直接得ることなく科学の世界を予言しているアウトサイダー」が書いたもので、理論物理学者である著者には、そこが不満だったらしい。
「本書が異色である理由」は、「この先どんなすばらしい発見が待ち受けているのかについてインサイダーの視点を提供でき、二一〇〇年の世界に対してなにより確かな裏づけのある見方を与えられ」る点であると、著者は自負する。
300人以上にインタビュー
著者のミチオ・カク氏は、米国ニューヨーク市立大学理論物理学教授で、「ひもの場の理論」の創始者の一人。『超空間』『サイエンス・インポッシブル』などの著書があり、テレビ番組にも出演しているという。
<私は、この大革命の最前列の席に着き、全国ネットのテレビやラジオで、世界でもトップクラスの科学者や思想家や夢想家三〇〇人以上にインタビューする機会に恵まれた。そしてテレビの撮影班を連れて研究室に入り、人類の未来を変える驚くべき装置の試作品をビデオに収めさせもした。BBCテレビ、ディスカバリー・チャンネル、サイエンス・チャンネルで多くの科学特番の司会を務めるという、数少ない栄誉にあずかり、大胆にも未来を創造しようとしている先見性に富む人のすばらしい発明や発見も紹介した。>
というわけで本書は、科学者が「インサイダー」として、同僚である科学者たちの「頭をのぞき見」て描き出した未来像を提示している。
加えて、本書をユニークにしているのは、著者の好奇心。ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』に始まり、テレビや映画では、『フラッシュ・ゴードン』『スター・トレック』『禁断の惑星』『ターミネーター』『スター・ウォーズ』『ブレードランナー』から『X‐メン』『アバター』まで、芸術やエンターテイメントの世界で描かれてきた「未来の科学」をいたるところで例にあげ、予測する世界のイメージを鮮やかに視覚化する。
おかげで、文字だけでは難しくなりがちな内容を、親しみをもって読ませ、映像のスパイスを効かせることに成功している。
社会制度、経済、文化、感情…
複雑な力学をどこまでおりこむか
本書における未来予測の時間軸は、近未来(現在~2030年)、世紀の半ば(2030年~2070年)、遠い未来(2070年~2100年)という三段階に設定されている。各段階でテクノロジーがどこまで発展し、人びとの生活がどんな様子になるのかを予測する。
科学者でないのに科学の世界を取材している私は、著者からすると「アウトサイダー」である。アウトサイダーが意見をいうのはおこがましいが、本書の予測にはおおむね同意するところが多かった。
興味深かったのは、ナノテクノロジー分野。今世紀の半ばには「変形テクノロジー」の一種がありふれたものになっているかもしれない、という。たとえば、電荷を変えれば配列が変わるようなプログラム可能な物質ができている。インターネットを通じてソフトウェア・プログラムをダウンロードすれば、おもちゃや家電を新品につくりなおすことができる。
宇宙旅行でも、無数の微小な「ナノシップ」が星々へ向かって打ち上げられ、「群れ」のように行動して、ごく一部が到達することが考えられるという。「各個体の能力とは別個に、群れ自体の知能をもつように見える」群ロボットや、微小なセンサーをもつ粒子を何十億個も空気中に放つ「スマートダスト」といった概念には、大きな可能性を感じた。
一方、あえて難をいえば、医療とエネルギーの分野で著者の認識がやや古かったり、偏ったりしているように感じるところがあった。
ひとつには、翻訳も含め、本になるまでのわずかなタイムラグでもすぐに古くなってしまうほど、進歩のスピードが速いせいだろう。また、細分化と深堀が進む現代科学では、「インサイダー」である物理学者といえども、把握しきれない分野があるのは、いたしかたない。
科学技術が変化を促すエンジンである一方で、社会制度や経済、文化、人間の感情といった力が、それとは逆向きにはたらくこともある。こうした複雑な力学をどこまでおりこむかが、難しいところである。
時として予言どおりにならないのはなぜか?
過去の予言が当たらなかった理由として、著者は「穴居人の原理」と呼ぶものをあげている。
オフィスでは紙の量が逆に増え、通勤が不要にもならなかった。観光客で町は混雑し、「ブロードウェイの灯りは今も昔と変わらず煌々と輝いているのだ」。
時として予言どおりにならないのは、「人々はえてしてそうした進歩を拒んだのではないだろうか」と、著者はいう。
現代人であるわれわれの望みや夢、人格、欲求は、十万年以上前に穴居人だったころの祖先とさほど変わらないし、この先十万年もきっと変わらない。したがって、「現代のテクノロジーと原始的な祖先の欲求との軋轢があるところでは必ず、原始の欲求が勝利を収めている」。これが、「穴居人の原理」である。
たとえば、「獲物の証拠」として、話をするより、獲った動物を手にして見せるほうがいい。それで「人は、コンピュータの画面に浮かぶ電子的な文字を本能的に疑ってしまうため、不必要なときでも電子メールやレポートを印刷する」。
また、われわれの祖先は直接会うことで他人と親密になったり、表に出ない感情を読み取ったりした。「それは、サルに近い祖先が、発話を生み出す何万年も前に、ほとんど仕草だけで思考や感情を伝えていたからである」。
このように、ハイテク(先進技術)とハイタッチ(人間同士のふれあい)はつねに張り合っている。この競合においてわれわれは通常、両方を求めるが、「選択を迫られたら、祖先の穴居人と同じようにハイタッチを選ぶ」というのである。
商品資本主義から知能資本主義へ
さて、こうしたハイテクとハイタッチのせめぎあいの結果、人々の日常生活はどのように変わるのか。
本書では、富の未来、人類の未来、そして「二一〇〇年のある日」という章をもうけて、社会へのインパクトをまとめる。
「物理学者は、文明を評価する際、消費するエネルギーを元にランクづけする」として、旧ソヴィエトの宇宙物理学者ニコライ・カルダシェフが導入した尺度を紹介している点が、著者ならでは。それによると、タイプⅠ文明は惑星規模の、Ⅱは恒星規模の、Ⅲは銀河規模の文明で、それぞれのあいだにはエネルギー消費に百億倍の開きがある。
現代の文明は、この分類によるとタイプ0もしくは0・7文明である。およそ百年以内に、われわれはタイプⅠの「惑星文明」に到達する。インターネットを「惑星規模のテレコミュニケーションシステムの基盤」として、惑星規模の言語、経済、文化、病気、そして中流階級の台頭をみることになるだろう、としている。
そうした世界で国家や個人が存続するひとつの戦略は、「商品資本主義」から「知能資本主義」への移行をなし遂げることだ、と著者は主張する。
<戦後の日本の事例を考えてみるといい。日本は目立った天然資源をもたないが、それでも経済力は世界有数である。今日の日本の豊かさは国民の勤勉さと団結のあかしであって、足もとに富が埋まっていたからではない。>
著者の褒め言葉に、現在の日本があてはまっているか、そしていつまであてはまるかは、心もとない。「科学技術立国」日本は、惑星文明の時代に「知能資本主義」先進国へ移行できるだろうか。本書には、そのためのヒントも隠されている。
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★4★ 2200年未来予測
2220年代の未来予想図
2020年頃に言ってた「地球温暖化」って何だったんだ?という話になる。地球は太陽活動の影響を受けて小氷期に。本来なら関東地方が東北並の寒冷地になるはずが、地球温暖化のお陰で相殺されて、稲作の限界が岩手県あたりになる程度で済む「というのは2020年代の古い発想」。ゲノム編集で冷害に強い稲が開発され、稚内でも稲作可能になっている。ただ、技術的に可能ということとそれが商業的に成り立つという話は別。低湿地の多いアジア諸国で三期作、四期作とか当たり前になって価格的に太刀打ちできないので、輸入する結果に。だいたい、稲作そのものが変わってしまって久しい。ドローンで直播きというのも「昔はそんなこともやっていたな」。農家に備え付けたセンサー&AI制御速射砲で種もみをしかるべき位置に直接投下する。刈り入れはAI制御の超高速マイクロコンバインで稲から玄米だけを収穫。開発者いわく「稲刈りの究極の省力化は、稲刈りをしないことである」。1960年代の日本で「踏切事故を無くすには踏切を無くせばよい」を「新幹線」で実現したことにインスパイアされたらしい。
人類の寿命は2100年頃に「特別なことをしなければ」120年くらいが限界という結論に達するが、あれこれ手を尽くせばほぼ無限に生きられるようになる。恒星間飛行の宇宙飛行士がこの技術を利用して、2200年くらいにその第一陣が地球を出発。光速まで加速するのはいくら何でも無理。まあ1000年くらいかけて戻って来れればいいや、みたいな話になる。一般人は「若くて綺麗」を妥当なコストで維持するのは70歳くらいが限界ということになり、110歳、120歳にもなってくると体の補修にも限界が来て、生きていてもあまり楽しいことは出来なくなってしまう。「適当なところで快適に死ぬ技術」が2150年頃に完成。2220年の平均寿命は結局95歳前後に。
「中国4000年の歴史」が「中国4200年の歴史」に。なんだ5%しか違わないよ、ということで、長江の流れは変わらない。アメリカはどうなんだろうな、まあ真っ先に恒星間飛行に飛び出していくのは彼らだろう。日本では「涼宮ハルヒの憂鬱」が古典文学に。
「地球温暖化」が叫ばれた頃の技術でエネルギー源としての石油の価値はなくなる。どうしても石油からしか合成できない(あるいは代替物質を使うと著しくコストが跳ね上がる)ような場面でしか利用されなくなり、今の0.1%位の需要に。日本で石油の「自給」が可能になる(新潟県に既に油田がある)。家庭用超小型核融合炉が普及。パッケージ型重水素燃料はコンビニで売っている。「これ以上の地球寒冷化防止」のため、中東では世界各国が資金協力して、石油をガンガン燃やす。中東で燃やす理由は「汲み上げコストと輸送コストが世界一安くなる組み合わせ」だから。ロシアでこれをやるとCO2はともかく廃熱処理にお金を掛けないとツンドラが溶けはじめてえらいことになる。アメリカは汲み上げコストが中東の2倍。
人体埋め込みタイプの小型量子コンピュータが実用化。1万桁の掛け算が暗算できるようなる。言語は、そのコンピュータが実用化した時点で残っていると思われる(方言を含めた)1万語くらいで相互自動翻訳が可能になるので、どの言語を使用するかは個人の選択に委ねられる。「○○語でないと通じないニュアンス」があるので、とにかく、全部を活かす。他人の考えていることなど埋め込みチップのネットワーク接続で、普通にクラック出来るようになる。「だからこそ」涼宮ハルヒの憂鬱が「古典」になる。
2220年、noteのこのテキストが残っていたら「2020年、凄く馬鹿な奴がいたらしい」と、ネタにされる。
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★5★ 2200年 タイムトラベラー
西暦2200年からやって来たタイムトラベラーが、カメラの前で“未来食”を見せてくれた――。
■西暦2200年の“自称”タイムトラベラー
またしても“自称”タイムトラベラーがメディアの前に姿を現した。西暦2200年の未来から「ドアを通り抜ける」ようにしてこの2018年にやって来たW・D・デイビス(仮名)氏は、なんと103歳。身に危険が及ぶために詳しいプロフィールは明かせないとのことだが、その手にはなんと西暦2200年から持ってきた“未来食”を携えていたのだ。
YouTubeチャンネル「ApexTV」に先日投稿され、英紙「Express」が報じた動画の中でデイビス氏は、西暦2200年がどのような社会なのか、その一端をカメラの前で解説している。
【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2018/03/post_16405_entry.html】
「これで1週間分の栄養が摂れます」
そう言いながらデイビス氏がカメラの前に差し出したのは一見して何の変哲もない白いカプセルの錠剤だ。しかしなんとこのカプセル錠は“未来食”であり、この1粒で1週間健康に生きられるというから驚きだ。この“未来食”のおかげで世界の食糧問題とプラスチック汚染の問題は完全に解決しているということだ。
「政府はこの錠剤を月に一度、全員に支給します。もちろん無料です」(デイビス氏)
すなわち西暦2200年の人類は飢餓を克服していることになる。1週間に1度この錠剤を服用するだけで、飢えたり栄養失調になることなく健康に暮らせるとすれば便利この上ない。また完全な人工栽培の各種野菜を食べることもあるという。こうした栄養事情や、がんを含めてすべての病気が完治できる医療技術もあり、平均寿命は200歳に伸びているということだ。
人々は手首などにチップを埋め込んでいて、各種の支払いや身分証明などはチップをスキャンして行われているということだ。
人口問題のほうは火星への移住と「水中都市」に居住することで解決しているという。水中都市ではエネルギーと食糧の自給自足が成立していて独立したコロニーになっているということだ。その水中都市は現在のドバイ沿岸にあり、デイビス氏も訪れたことがあるという。しかしながら増え続ける世界人口は依然として大きな問題になっていて、火星に続いて木星の衛星への移住も進行中であるということだ。
この時代、火星には自動車で行くことができて、しかも自動運転で宇宙旅行することが可能であるという。
■パラレルワールドは無数に存在する?
西暦2200年にはタイムマシンの商業運用が行われているという。しかし“旅券”はきわめて高額であるため、民間人の場合は主に富裕層の間で利用されているということだ。タイムトラベルは実に手軽に行えて、まるで「歩いてドアを通り抜ける」ようにして別の時代を訪れることができるという。
「ApexTV」のインタビュアーがデイビス氏にタイムトラベルに付き物の「タイムパラドックス」について尋ねると、まったく問題がないという。
未来人であるデイビス氏がこうして2018年のインタビュー動画に出演することで、わずかではあれ歴史が書き換えられてしまうというタイムパラドックスが引き起こされる可能性があるのだが、デイビス氏によればこの世界はいわゆる“パラレルワールド”が無限に枝分かれして発生しているので、どの時代に行って何をしようとも歴史が書き換わることはないということだ。これはいわばヒュー・エヴェレットの「多世界解釈」に近い理論と言えるのかもしれない。
そして話は地球外知的生命体に及ぶ。デイビス氏によればアメリカが知的なエイリアンの存在を証明して、すでに地球にエイリアンが訪れている事実が公になったという。外見を人間の姿に変えられる“シェイプシフター型”のエイリアンは2018年の時代においても我々の社会にすっかり溶け込んでおり、未来では人類との混血がますます進んでいるということだ。
デイビス氏が何の目的でインタビューに応じ、今後どのような行動をとるのかはわからないが、何か動きがあれば「ApexTV」で続報があるだろう。ともあれ今後100年程度の間に人類の火星移住やタイムトラベル・ビジネスなどが実現するとすれば、近未来はまさに“激変の世紀”となりそうだ。2018年の今から来るべき大変化に備えなければならないのかもしれない。(文=仲田しんじ)