我が家のブラックベリー
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所得格差がなぜ 起きるのか? 世界各国の1988年と2008年の1人当たり
実質所得を購買力平価(PPP)で一元化して世界の所得を算出し,その伸び率
を階層別に図示した時に現れる「象に似た図がエレファントカーブ」。
象の姿で最も高い部分は,鼻先と背中になる。最も低い部分は象の鼻元と
尻尾である。とても判り易い。
ここから所得格差を無くす方法を考えよう。
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たとえば ベーシックインカムの導入が挙げられる。
日本でも動きがある。2017年8月22日@ 第2議員会館
「Basic Income 元年Forum」を素晴らしい方々と開催したが
ここに来て、「コロナウィルス」で働きたくとも働けなくなった
多くの人々がいる。私も2ケ月近く。自宅待機となった。健康を
糖尿病があり薬を飲んでいるので、影響を受けやすい。
政府は 働けなくなった人々を救済する「ベーシックインカム」
的な諸策を実施するようになった。
★スペインは政府として導入を先週決定した。
この傾向はもっと強まればと期待している。
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★ ところで、「世の中の動き」は 新しい技術で加速化する。
なので幾つか、未来予測を見てみよう。
特にテクノロジーの分野。
① 通信手段第1世代から今は第5世代が始まっている。
② エッジAIもここに来てピークを迎えている。
③ 貨物輸送ドローンは 間もなく始まるところ。
④ ARクラウドは驚くばかり、お医者さんの手術を
はじめ大活躍をテレビで見る。もっと進化して行く
だろう。わくわくしてくる。
⑤ 非中央集権Webは発展途上。解説を聴いていると
「新たな希望」が湧いて来る。
各国が主導権争いもあり、しのぎを削っている。
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★さあ、今を生きる私たち。出来ることから、
行動して行こう。少しでも社会に、貢献したいと思う。
仲間が揃えば 実現する。あ~しあわせ。
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Branko Milanovic addresses global income inequality
ブランコ・ミラノヴィッチ氏 有名な 象さんカーブの提唱者
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Important Charts – The Globalization Elephant Chart 判り易い図をみてみよう。
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【未来予測】2020年、革命を起こす5つの重要テクノロジー
じっと眺めているとワクワク感が止まらない。あ~しあわせ。
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我が家のブルースター。が5つの技術を象徴しているかな?
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エレファントカーブの解説。じっくり見て、どうすれば「底」を脱出できる?
★ 底にいるのは 私たちのことだ。真剣に考えよう。
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「グローバリゼーションのエレファントカーブ」の意味するもの
帝国主義の世界支配からのパワー・シフト
1、グローバリゼーションのエレファントカーブ
昨今注目されている「グローバリゼーションのエレファントカーブ」とは、ブランコ・ミラノヴィッチ氏がその著書「大不平等」(邦訳 みすず書房)において描いた象の鼻のような形状の曲線である。それは横軸を世界所得分布の百分位でとり(左から右へ豊かになる)、縦軸は1988年以降の20年間にそれぞれの所得階層で何%所得が増えたかをプロットしたものだ。
象の頭頂部(A点)は、「グローバル中間層」(所得分布の中央値付近20%)、鼻の垂れ下がったU字底(B点)は75~90百分位で豊かな国の中間層、象の跳ね上がった鼻先は最も豊かな世界上位1%(C点)をさす。
因みにこの統計は各国家計調査の組み合わせ、ICP(国際比較プログラム)事業のPPP(購買力評価)を使って実質所得を推定している。
1988~2008年までの20年間に、ミラノヴィッチが「グローバル中間層」と命名したA点では約80%の所得の伸びを示し、最も富裕な上位1%C点でも70%近い伸びを示している。しかし、B点の先進国の下位中間層の所得は停滞して取り残されているのである。この流れは2008年金融危機(大西洋経済不況)を経て今日まで強化されている。
A点は、中国をはじめとするアジア新興国の人々で、中国では農村部と都市部で実質所得がそれぞれ3倍と2.2倍になっている。インドネシア・ベトナム・タイでも所得は2倍に及んでいる。
C点は世界上位1%で半分は米国、あとはヨーロッパ、日本、オセアニアが占める。B点の豊かな国の下位中間層の停滞と比較すると、豊かな国で格差が拡大していることが解る。
因みに富の絶対増加でみると、20%を上位1%が、44%を上位5%が受け取っており、先進国の「下位中間層」の所得が「グローバル中間層」に回ったわけではないことが解る。
世界上位1%の税引き後の年間可処分所得は約7.1万ドル、豊な国の下位中間層の可処分年間所得は約5000~1万ドル、グローバル中間層の可処分年間所得は約1400ドル、世界の下位5%の最貧困層の可処分年間所得は450ドルに満たない。
それでも1988年~2011年までの23年間で、米国の下層20%と中国の都市部の比較では、実質所得が6.5:1 から1.3:1へと変化している。
豊かな国の経済格差の拡大と世界経済における新興国の台頭という変化がはっきりと見て取れる。
2、クズネッツ波形という概念と豊かな国の不平等の拡大
クズネッツは、1950年代~70年代の国の工業化の中で、「最初は不平等が拡大して後には不平等は縮小する」という逆U型曲線を描くという仮説を提起した。実際、先進国では産業革命(1844年頃)以降から20世紀初頭まで不平等が拡大し、それ以降、1970~80年頃まで不平等が縮小する過程に入っていた。
近年注目を集めるピケティは、1980年代以降の脱工業化―新自由主義経済での豊かな国における格差の拡大を指摘してクズネッツの仮説を批判、資本主義は一般に格差を拡大するが20世紀の格差の縮小は例外的に社会主義や政治闘争、社会政策が影響したものだと指摘した。
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これに対してミラノヴィッチは、視野を産業革命以前と世界全体に広め、経済は不平等を拡大する過程と縮小する過程の波を繰り返す(クズネッツ波形)とした。これは一種の弁証法であると思う。
そこで、ミラノヴィチは、産業革命以後では不平等を拡大することのできるスペースができたとし、不平等を押し下げる力には悪性の力(戦争・内戦・疫病)と良性の力(社会主義と労組・教育・社会政策・高齢化・技術変化)があるとし、また、経済的な力と政治的な力の相互作用を指摘して、政治闘争は所得の分配を巡って争われるがそれはずっと幅広い経済環境の中で起こる、とした。
そして、20世紀初頭からの先進国での不平等を縮小させた力については、経済的要因として都市部への人口集中や教育の向上を上げ、政治要因としては、ピケティの指摘した点に先行して、イギリスでの労働貴族の登場や帝国主義の競合としての戦争があったとする。
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3、各国間の不平等と移民
世界全体に目を転じると1820年頃から1980年まで不平等は一貫して拡大していく傾向にあった。19世紀には産業革命が欧州で起こったことにより、次いで20世紀には帝国主義の支配によって。そこで貫かれたのは植民地主義である。
ポール・バイロックは植民地契約について「植民地は本国とのみ、本国の船で輸送される商品のみ取引ができ、また、工業製品を作ることができない」と指摘している。エンゲルスはイギリスの植民地搾取と工業的独占を労働貴族の発生の原因とし、ブハーリンは植民地搾取による労働貴族の発生が第二インターの崩壊とその戦争協力の要因であるとした。第2次世界大戦後の旧植民地諸国の政治的独立も、周辺国の豊かな国への経済的従属を解消しなかった。
植民地搾取の結果、発生したのが市民権レント(市民権プレミアム)だ。1820年には不平等の要素は階級が80%で場所が20%であったが、豊かな国と貧しい国の不平等の拡大により19世紀半ばまでにはこれが逆転し、不平等の80%は生まれた場所で決まり、階級で決まるのは20%になった。
現在では、最貧国コンゴの所得に対し、米国は9200%、スウェーデンは7100%、ブラジルは1300% イエメンは300%となっている。貧しい国は労働時間が長いにもかかわらず、同一職業の賃金差は、「ニューヨーク・ロンドン」:「北京・ラゴス・デリー」で比較すると、建設作業で11:1、熟練工で6:1、エンジニアで3:1となっている。
市民権レントが生み出すものが移民である。97%の人は生まれた国で暮らすので移民は3%-2億3000万人であるが、増加率2.2%と人口増加率の倍となっており、そして移民を望む人は7億人15%に及ぶ。そこで貧しい世界と豊かな世界が接する世界各地域には壁が築かれている。
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発達した社会保障のある国(スウェーデン等)は低スキルの移民を引きつけ、流動性の高い国(米国?)は高スキルの移民を引きつける。そこで受け入れ側の国は、「資格を満たした移民」の受け入れや一定金額(米国なら100万ドル等)を投資した移民の受け入れの政策をとっている。
しかし、グローバルな視点からはこれは極めて差別的で、貧しい国の高スキルの流出として不平等を拡大する。付言しておけば、実際の移民は、社会サービスや社会移転を得る以上に納税しているのに、である。
ところが、1988年以降、産業革命以後にしてはじめて各国間の不平等が縮まっている。世界のジニ係数は、1988年72.2から2008年70.5、2011年67へと推移している。
豊かな世界の停滞とそれ以外の地域(特にアジア)での成長がその原因だ。2000以降の成長率は新興国で4.7%、豊かな国で1%となっている。米国と中国・インドの1人当たりGDP比は、1990年の20:1から2010年の4:1へと変化している。(→次号(下)につづく)

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「エレファントカーブ」とアジア(その1)
平川均
(国士舘大学 教授)
2017.10.30
資本主義は歴史的事実として貧富の格差を拡大させる。トマ・ピケティが大著『21世紀の資本』で,資本主義の歴史的な所得格差の拡大を実証して大きな関心を集めたのは2015年である。
彼に始まる近年の所得格差研究は,それまで経済学に大きな影響を与えてきたクズネッツの逆U字曲線仮説に「止めの一撃」を加えた(ミラノヴィッチ2016,49頁)。
経済成長の初期に所得格差が広がるが,成熟するに伴いやがて自然にあるいは自動的に縮小に転ずるという仮説は特殊な時期の所得格差縮小を,アメリカを事例に一般化させたものであった。その時期,戦争とその他の非経済的要素が格差を縮小させたのである。
ピケティによる主要先進国の所得格差の研究は,資本主義の富と所得の偏在構造を長期のデータに基づいて明らかにするものであったが,こうした研究はその後,一段の飛躍を果した。ピケティの問題意識を今日のグローバルなレベルに拡張したのがブランコ・ミラノヴィッチの研究である。
彼の邦訳書の帯には,ピケティによる推薦の言のほか,同書が2016年の『エコノミスト』と『ファイナンシャル・タイムズ』のベストブックとなったことが印刷されている。
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インターネット上では,ミラノヴィッチが描き出した図が「エレファントカーブ」あるいは「エレファントチャート」と呼ばれて高い関心を集めている。あるツイッターはこの図をグローバリゼーションに関わった「過去10年間で最もパワフルな図」として称賛しており,イギリスのBBCニュースも「グローバリゼーション:あなたはこのエレファント(図)のどこにいるか」と大きく取り上げている(2016年10月5日)。
エレファントカーブとは何だろうか。世界各国の1988年と2008年の1人当たり実質所得を購買力平価(PPP)で一元化して世界の所得を算出し,その伸び率を階層別に図示した時に現れる象に似た図のことである。
象の姿で最も高い部分は,鼻先と背中になる。最も低い部分は象の鼻元と尻尾である。ミラノヴィッチは,この鼻先と背中の部分に当たる世界の所得階層をグローバリゼーションの勝ち組,鼻元から先端の手前までの部分と尻尾に当たる部分の所得階層を負け組とする。
彼が比較した期間は「ベルリンの壁の崩壊から世界金融危機までの時期」,つまり旧社会主義諸国が資本主義に組み入れられると同時に,情報通信革命によって周縁国の労働力を自由に使えるようになった「高度グローバリゼーション」期である(ミラノヴィッチ2017,12頁,57頁)。
その期間の世界の所得階層別伸び率は,グローバリゼーションによる世界の所得変化を示すものとみなせるのである。
鼻先に当たる層は世界の超富裕層トップ1%であり,背中に当たるのはピークを示す中間値の層およびその前後の所得層,つまり世界の所得分布では第40百分位から第60百分位までの所得層である。
20年間のその実質伸び率は超富裕層が約80%,中間層が65%であった。
伸びのほとんど見られない象の鼻元と尻尾に当たる負け組の所得層は,グローバルな所得分布の第75百分位から第90百分位に位置する層と第5百分位以下の層であり,前者の伸び率はほとんどゼロ,後者は15%に過ぎなかった。
ミラノヴィッチは,次のように述べる。「グローバリゼーションの明白な受益者であるこのグループにいるのはどのような人たちだろうか。
10人中9人まではアジアの新興経済の人たちで,中国人が圧倒的だが,インドやタイ,ヴェトナム,インドネシアの人たちも含まれている。
彼らはそれぞれの国の最富裕層ではない。富裕層はグローバルな所得分布のもっと高い位置にいる。大きく伸びているのは,それぞれの国の所得分布の中位に入る層で,……世界でみても中位に当る」(ミラノヴィッチ2017,14頁)。
鼻先に当たるもうひとつの勝ち組の人々を再び記せば,世界の所得分布で1%の超富裕層である。では20年間,実質所得がほとんど増えなかったのはどの層の人々か。「彼らはほぼすべて,OECDの加盟している豊かな経済に暮らしている。
この層の約4分の3は,西ヨーロッパ,北アメリカ,オセアニア,そして日本と言う『古くて豊かな』国の人たちだ。/
簡単に言えば,最大の勝ち組はアジアの貧困層および中間層で,最大の負け組は豊かな世界の下位中間層だということだ」(同上書,15頁)。
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「エレファントカーブ」とアジア(その2)
平川均
(国士舘大学 教授)
2017.11.06
ミラノヴィッチのエレファントカーブは,グローバリゼーションが世界の人々に与えた効果を見事に表している。
世界人口の超富裕層1%が絶対増加分のほとんど5分の1を,超富裕層5%で44%を独り占めしたが,所得を実質的に大きく伸ばしたのは中国を筆頭にアジア新興国の働く人々である。
彼らは世界の中間層にのし上がった。対照的に負け組で最も影響を受けたのは豊かな国の下位中間層で,彼らはほとんど所得を伸ばせなかった。
だが,ミラノヴィッチの衝撃的な図は世界の所得不平等論争のさらなる出発点である。レゾリューション財団のアダム・コルレットは,ミラノヴィッチのグローバルな所得変化に疑問を呈する。
豊かな国の所得の伸びは国による違いが大きい。エレファントカーブは,所得の伸びなかった日本と旧ソビエト諸国/バルト諸国のデータが加えられたことでバイアスがかかった結果である。
日本と旧ソビエト諸国/バルト諸国,この2つのグループの経済を合わせた所得階層別伸び率を見ると,第20二十分位(トップの5%)の人々は20年間に15%の所得増加をしたものの,その他の所得層ではマイナスかゼロである。
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