サブプライムローンとローン担保証券(CLO)の違い。191003(木)

中国経済が危ない。アメリカ中国の貿易戦争がきっかけだ。だが日本経済も当然危なくなっている。その背景には何があるのか? 再度国際金融市場では、ローン担保証券CLO (collateral loan obligation)などデリバティブが猛威をふるっており、リーマンショックの10倍も20倍もの規模になっていて、いつ崩壊してもおかしくない状況。

私たちも当然、巻き込まれる。リーマンショックの時は 100兆円が吹っ飛んだが、今回は、1000兆円を超すだろうと言われている。その背景には「金融の仕組み」がある。以前と変わらず、マネーゲームが悪化、激化しているのだ。実体経済からの乖離が加速化している。

__________________

備考:金融機関等が保有するローン社債などを特定目的会社(SPC)や信託などを利用して流動化・証券化する仕組み、またはその際に発行される証券のこと。流動化・証券化の対象となるのが、ローンである場合をCLO(ローン担保証券)、社債である場合をCBO(社債担保証券)と呼ぶ。CLO/CBOの具体的な仕組みは、まず特定目的会社や信託などを設定し、そこに金融機関等が保有するローンや社債などを売却。

その特定目的会社や信託などが、出資証券や受益証券の形で小口化して販売することとなる。また、金融機関等との間で、対象となるローンや社債などのリスクを保証するクレジット・デリバティブ契約を結ぶ場合もある(シンセティックCLO/CBO)。この場合は、ローンや社債などが直接売却される訳ではないが、債務者が破綻などした場合に、あらかじめ契約に基づいて定められた支払金を金融機関等が受け取ることができる仕組みであるため、実質的にローンや社債などが売却されたのと同様の経済的効果が期待できる。(吉川満 (株)大和総研常務理事 )

_____________________

中国経済崩壊、秒読み。バブル崩壊。シャドーバンキング(ドイツ銀行、デリバティブ、不動産)234,759 回視聴 2019/03/28公開済み

__________________

#新唐人日本 閉店ラッシュの中国 あちこちに建ち並ぶシャッター街

|中国経済|米中貿易戦争 556,547 回視聴 2019/07/23  NTDTVJP チャンネル登録者数 7.26万人

【新唐人NTDTV=米NYに本部を置く中国語衛星放送。 https://www.ntdtv.jp/
あちこちに建ち並ぶシャッター街 「どの都市も瀬戸際に立たされている」 中国では現在、企業倒産と国外移転に伴う店舗の閉店ラッシュが続いています。中小都市や香港、深センとその周辺だけでなく、経済的に発展した長江デルタにも広がり、閑散としたショッピングモールが目につくようになりました。すでに下降中の中国経済が、米中貿易戦争の硝煙の中、首の皮一枚がつながった状態にあると分析する人もいます。
上海、江蘇省、浙江省、安徽省からなる長江デルタは、中国大陸で最も発達した経済地域の一つです。 しかし米中貿易戦争の激化に伴い、当局から重要な戦略的地位を備えた国際ゲートウェイと位置付けられていた長江デルタでも、「営業停止」する店が目立つようになりました。
江蘇省の省都、南京市では、地下鉄駅の近くやその周辺の住宅街、人通りの絶えない金都匯広場であっても状況はよくありません。一日当たりの利用者数が3万から4万人の地下鉄の駅からわずか240メートルのところに位置する京新広場は、ショッピングモールの複数の入り口にあるディスプレイも消えたままで、通りに面した一階店舗でさえも内装の解体や品物の梱包が行われており、座り込んでおしゃべりに興じる清掃員だけが残されています。
上海に住む汪建華さんは、上海で閉店した店舗は多いわけではないが、権利を譲渡する店が特に多いと語り、上海は大都市として、不況のあおりを食らった街並みが露呈するのを避けるために、別の方法を採用していると説明します。 上海市民 汪建華さん 「上海は今整理を行っている最中だ。住宅街で店をやっている住民はすべて閉鎖させられ、解放軍部隊がやっていた店もすべてたたまれた。学校も商売してはならない。
上からの命令で店舗を圧縮している」 圧縮された店はやむなく商業エリアに移転しました。このようにすれば、上海に営業をやめた店舗が建ち並ぶこともなくなります。 しかし、上海のオフィスビルはやはり空室が目立ち、上海の衰退を隠すことはできなかったと、汪建華さんは語ります。 中国経済の牽引者である南部の広州も例外ではありません。かつて多くの店舗でにぎわった広州の街も、閉鎖した店が目立ちます。
あるネットユーザーは「今、外食するほど心にゆとりのある人がいるだろうか。食費を切り詰め節約に励み、さらに重税を納付し、住宅ローン、医療費を支払い、子どもや親を養わなければならない。こんな状態では支出を賄いきれない。毎日4~5元(約60~80円)のマントウやインスタントラーメンが食べられればまだましだ。魚や肉など食べたくても無理だ」と吐露しています。
中国問題研究家 李さん 「民衆はすでに身を切られるような苦しみに耐えている。手首を切り取られただけでなく、腕や足まで断ち切られ、心臓だけがまだ動いているような状態だ。中国経済全体が首の皮一枚でつながっている状況で、どの地方も、限界を超える瀬戸際に立たされている」 天津のある老人が撮影した映像には、以前は大変な賑わいだったデパートも、今や人っ子一人おらず、午前十時という最もにぎわう時間でさえ、広い通りを歩いているのはほんの数人という様子が見られます。
この老人は、全国で多くの都市がかつて繁栄したが、今では誰も訪れないと語っています。 中国問題研究家 李さん 「核心部門だけが動いているのを除けば、非核心部門は官僚だろうが、公務員だろうが、国家機関傘下の団体であろうが、企業であろうが、特にもっと数の多い民衆は、生活が苦しくて暮らしていけなくなっている」 あるネットユーザーは「特に中小都市の旧市街地には営業している商店街はほとんどない。
ニュータウンの店はもっとさびれている。個別の商店だけがかろうじて営業している」と語っています。 安徽省 呂千栄さん 「私が江蘇省にいたころに常州で見たのも、今、浙江省舟山で見ているのも、全国的にもみな同じで、多くの商店街がシャッターを下ろしている」 米中貿易戦争の影響を受け、広東省の昨年の購買担当者指数(PMI)は下落が止まらず、12月の時点で広東省当局は、この経済指標の発表を中止し、「国家統計局が発表を許可しない」としています。
また外国企業の中国撤退の動きが加速し、ヒューレット・パッカード、デル、マイクロソフトなどの世界的なテック企業も次々中国を後にしています。7月4日には、深セン市の老舗電子メーカー「深圳聚電智能科技」が倒産を発表しました。 中国問題研究家の李さんは、中国大陸には現在、庶民に希望を抱かせるようなよいニュースがなにもない。民衆はただ無為に日々を過ごし、社会が大変革を迎えるのを待っているだけだと語っています。
_______________

_________________

#中国 #香港 #一国二制度

祝賀気分だけじゃない中国建国70年

15,184 回視聴 2019/10/01  テレ東NEWS チャンネル登録者数 15万人
中国ではきょう、習近平国家主席が臨席するなか、建国70年を祝う軍事パレードが実施されました。このパレードに隠されたメッセージや祝賀ムードを吹き飛ばす抗議が続く、香港情勢などについて専門家に聞きました。
_______________

___________________

ローン担保証券(CLO)の増加はリーマンショックの再来をもたらすのか

f:id:naoto0211:20190222211058j:image

ローン担保証券(CLO)と呼ぶ証券化商品が世界経済の新たなリスクとなってきたと日経新聞が報じています。

約10年前にはサブプライムローンを証券化した金融商品が世界に混乱を巻き起こしました。

ローン担保証券(CLO)とサブプライムローンの証券化商品とは、何が同じで何が違うのでしょうか。

今回は日経新聞のCLOに関する記事について簡単に考察しましょう。

まずは日経新聞の記事を確認しましょう。以下、引用します。

米証券化商品、リスク浮上
2019/02/22 日経新聞

 格付けが低い企業への融資をまとめたローン担保証券(CLO)と呼ぶ証券化商品が世界経済の新たなリスクになってきた。最大市場の米国での2018年の残高は6100億ドル(68兆円)超とリーマン・ショックが起きた08年の2倍になった。景気悪化で企業倒産が増えれば投資する各国の金融機関が打撃を受けかねず、米連邦準備理事会(FRB)も警戒し始めた。日本でも、こうした証券化商品に金融庁が新たな規制を導入する。
 米国の証券化市場は18年に1.6兆ドルと、ピークの07年の85%程度。リーマン危機の火種になった信用力の低いサブプライムローンを組み込んだ債務担保証券や仕組み融資はピークの2~3割に減ったが、CLOの残高は増え続けている。
 量的緩和政策による先進国の金利低下を背景に、12年ごろから高い利回りを求めて信用力に劣る企業向けの融資債権を束ねたCLOを買う投資家が増え、発行が盛んになった。
 米国では信用格付けがBB以下の企業に対する融資である「レバレッジドローン」の規模が1.1兆ドルと6年で倍増した。通常の企業向け融資の利回りは良くても2%程度だが、同ローンでは4%以上。借り手に甘く、財務の健全性維持をさほど求めない「コベナンツ・ライト」と呼ぶものが8割を占める。CLOはこうした劣化した融資を証券化して世界にばらまいた形になっている。
 リスクはすでに顕在化しつつある。米シェール関連企業の多くはレバレッジドローンや高リスクのハイイールド債券市場で資金調達して開発資金に充ててきた。原油価格が急落した昨年末には、シェール企業の採算悪化懸念からレバレッジドローン市場から一気に資金が引き揚げられた。
 シティグループが調査対象とする米レバレッジドローンのうち、12月に額面を上回って取引されたのはわずか0.9%。10月には7割を超えていた。足元では7%程度になったが、市場の厳しい目は続いている。
 融資の劣化は米当局も警戒する。FRBは昨年11月28日に公表した金融安定報告で企業債務のリスクに言及。同12月にはイエレン前議長が「企業債務の規模はかなり大きい。景気が後退に転じれば非金融セクターで多くの破産につながるリスクがある」と指摘した。
 CLOは高利回りを求める日本の銀行なども保有を増やしている。大手銀行など国内金融機関の証券化商品の保有残高は18年9月末で34兆2870億円と、5年3カ月ぶりの高水準。米国のレバレッジドローンを裏付けとしたCLOが押し上げているとみられる。
 CLOは一部のメガバンクや農林中央金庫なども保有しているが、大手は資産を厳しく選別し、組み込まれた米企業のリスクを分析している。ただ地方銀行のなかにはリスクを判別できないまま、利回り重視で手を出している例もあるという。
 金融庁はリーマン危機の発端になった証券化によるリスクの拡散を警戒し、19年3月末から国内の銀行や信用金庫などの金融機関を対象に、証券化商品の保有に新たな規制を導入する。
 発行元が総額の5%以上を自ら保有していない証券化商品は通常の3倍のリスクがある資産とみなす。金融機関は作り手が自社で5%以上を保有する商品でなければ事実上買えなくなる。
(以下略)

この報道内容だけを見ると、リーマンショックの再来でもあるのではないかと感じる方もいるのではないでしょうか。

以下でもう少し詳しく確認していきましょう。

CLOとは

まずはローン担保証券=CLOとは何かを確認しましょう。

Collateralized Loan Obligationの略称で和訳はローン担保証券。資産担保証券の一種である。金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいう。
金融機関にとっては、元来流動性の劣る貸出資産を、ローンより市場性の高い債券の形態にすることができるので、より機動的に資金を調達することができるというメリットがある。
実際には、金融機関がローンを特別目的会社に譲渡し、特別目的会社が債券を組成し、投資家がこれを購入する。そして、ローンからの元利金を投資家が受け取るという仕組みが一般的である。
CLOは、シニア債・メザニン債・劣後債といった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成される。ローンからの元利金は支払優先順位の高い順に支払われる。よって発行体が同一であっても、階層の異なる債券ごとに、それぞれ異なった格付けが付与されている。CLOは、リスク・リターンの選好が異なる様々な層の投資家に対して、投資機会を提供することができ、個別企業の発行する債券にはない投資機会を提供することができるとされている。

(出典 野村證券Webサイト)

これがCLOです。

簡単に言えば、金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したものです。

サブプライムローン証券化商品は信用力の低い個人向けの住宅ローンを証券化したものでした。

CLOは事業会社向けですのでローンの対象先が異なると考えておけば良いでしょう。

では、このCLOはなぜ近年急拡大してきたのでしょうか。

そのキーワードは米国の長期金利の上昇です。金融緩和が米国で正常化に向かう中で、固定金利で発行される債券は価格が下落します。

一方で変動金利の債券は金利上昇を享受出来ます。

すなわち、米国の金利上昇局面では、銀行やその他長期投資家の変動金利債券への投資意欲が強まるのです。

米国の貸出は変動金利が多いため、証券化した場合も変動金利の債券となります。具体的には、金利はLIBOR(銀行間の貸出金利)+スプレッド(個別企業の信用力等に応じた利鞘)で決定されます。

LIBORは1~6ヵ月でその時点のレートに切り替わりますので、若干のタイムラグはありますが金利上昇に連動することになります。

これがCLOが増加した要因の一つです。

もちろん、投資不適格クラスの事業会社向け貸出という比較的高金利を享受できるローンを証券化したことにより、投資家を惹き付ける利回りを提供出来ているという要因も存在するでしょう。

世界的な金融緩和環境では、利回りが確保でき、金利上昇リスクを回避できる金融商品に人気が集中するのです。

では、CLOはサブプライムローン証券化商品のように危険な商品なのでしょうか。筆者は証券化商品というだけでリスクがあるとするような論調には賛成しません。あくまで、その商品自体のリスクを見るべきだからです。

リーマンショックの際のサブプライムローン証券化商品は、不動産価格の上昇が前提でローンを組んだ、元利払いの能力がない層に貸出を行ったという点で根本的な問題を抱えていました。元利金を返せない債務者への貸出であるなら、いくら証券化でリスクを切り分けて商品を組成しても「無価値なものから価値は生まれない」のです。

CLOも同様です。CLOの裏付けとなっているローンが傷んでいるかは個別に中身を見るしかありません。サブプライムローンのように問題があるローンもあるでしょう。しかし、一律に危険とは言えません。

サブプライムローンの場合は不動産価格という要因が共通でした。

しかし、CLOに業種の偏りがないのであれば一律に悪くなるリスクは軽減されます。例えば輸出企業が不振でも、内需企業は業績が堅調ということはあり得るのです。

CLOという証券化商品が増えていることを騒ぐのではなく、その基となるローンがどのようなもので、債務者の動向がどのようになっているかが根本的には重要なのです。

なお、地銀の一部が格付だけを見てCLOを購入しているのかは分かりません(おそらくそのような地銀はあるのでしょう)。内容が理解出来ないモノを買うのはCLOの議論とは異なります。そもそも内容が分からなければ、その商品の価値が分かりません。売り主の言い値で買わされる、すなわちカモにされているのかもしれないのです。また、どのような環境になった時に損失となるかが判断出来ません。ポートフォリオを分散していたつもりが同じようなリスクばかりを取っていたということもありえるのです。この点が分からないモノを投資することの問題点なのです。

_________________

 
世界のデリバティブの総額は6京円です。 この6京円のデリバティブが爆発したら、 世界経済はおしまいだと思われています。 ドイツ銀行は、5500兆円のデリバティブを 持っていてその総額は、頭取にも正確にわからないと言って、 市場はパニックになりました。 デリバティブのリスクは本当に評価しづらいです。 リーマンショックの時の リーマンブラザーズは格付けAAAでした。 ドミノ倒しのように損が広がって、 想像をはるかに超える損害を出します。 金融バブルばかりが膨らんでしまい、 実体経済を押しつぶしてしまっている 世界の金融の問題をまとめて説明しています。 是非、ご覧ください! (黒川敦彦君の解説)
______________________
 

____________________

デリバティブ破綻から始まる世界恐慌(ドイツ銀行、中国経済、リーマンショック)

356,404 回視聴 •2019/06/09に公開済み
______________
 

_____________________

CLO自体が「悪」なのではなく、とにかくリスクを避ける傾向が「悪」

f:id:naoto0211:20190314210153j:image

レバレッジド・ローンや、それを証券化したCLO(Collateralized Loan Obligation=ローン担保証券の略)の残高増加が注目されています。特に邦銀が投資家として存在感を示しており、金融庁も邦銀の投資動向に注目しているようです。

上記環境下、日本銀行が「米国クレジット市場の最近の動向について」レポートを出しました。

今回は、このレポートの内容等を確認しながら、CLOの動向について考えてみたいと思います。

_______________

「日本企業が中国から撤退する本当の理由」(月刊三橋「中国大炎上」より)

1,552,630 回視聴 2014/01/21 「新」経世済民新聞 三橋貴明 公式チャンネル チャンネル登録者数 11.5万人
_________________

_______________

まずは、レバレッジドローンやCLOの残高増加がどのように問題とされているか、金融当局の問題意識について確認しておきましょう。

ダラス連銀総裁:企業債務は米経済のリスクになり得る-景気下降なら
Bloomberg Jeanna Smialek
2019年3月5日 23:00 JST

  • 企業と政府の債務増大すれば米経済は一段と金利に敏感になる可能性
  • 政府債務拡大すればインフラ支出など投資能力低下を意味する

米ダラス連銀のカプラン総裁は成長が鈍化した場合、米経済へのリスクになり得るとして、米企業債務に警告を発している。 
  カプラン総裁は5日に発表した小論文で、「米非金融セクターの企業債務の対国内総生産(GDP)比率は、前回のピークだった2008年末を上回っている」と指摘。景気が下降すれば、こうした融資を巡る問題は「金融状況の悪化に拍車を掛け」得るし、「米経済成長の鈍化を一段と深刻にする可能性もある」と説明した。 
  企業の債務増加に警告を発したのはカプラン総裁が最初ではない。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2月27日の議会証言で、借り手が既に高債務者であるレバレッジド・ローン(高リスクローン)市場の信用リスクが景気下降時に、システム全体に及び得るリスクではないものの、マクロ経済的なリスクを引き起こしかねないと指摘した。

  小論文の中でカプラン総裁は米レバレッジド・ローン市場を詳説。市中銀行から高債務企業への融資が増加しており、ローンはしばしば、リスク分散のためローンを束ねた証券化商品であるローン担保証券(CLO)を通じて銀行以外の投資家に販売されていると説明した。いわゆるシンジケーテッド・レバレッジド・ローン残高は18年末には1兆2000億ドル(約134兆円)に達した。08年時点では6000億ドルだった。 
  カプラン総裁は「CLOは現在、こうしたシンジケーテッド・レバレッジド・ローンの最大の受け入れ先であるため、CLO組成が混乱すればレバレッジド・ローンが銀行のバランスシート上に残る可能性は高まり得る。そうなれば、今度はストレスがかかる時期に銀行の与信能力が制限されかねない」と説明した。 
(以下略)

以上の通り、米国では企業債務の比率が金融危機(リーマンショック)前を上回っている状況にあり、レバレッジド・ローンは2倍まで残高が拡大しています。

レバレッジド・ローンとは

一般に、借り手が BB 格以下の投機的格付け(投資適格はBBB以上)であるローンを指します。

通常は、複数の金融機関(銀行・機関投資家)によるシンジケートローンとして組成されるものを指し、相対取引によるローンは除くことが多く、上記の記事でも「シンジケーテッド」(=シンジケート)レバレジッド・ローンの残高で比較されています。

なお、シンジケートローンとは、複数の金融機関が協調(=シンジケート)して借り手に(通常は)同じ条件で貸出を行うことをいいます。

日本銀行のレポート内容

日本銀行は日銀レビュー「米国クレジット市場の最近の動向について(2019年3月)」を発表しました。

要旨としては以下の通りです。

本稿では、米国クレジット市場の現状評価を行うにあたり、レバレッジドローン・CLO市場やBBB格社債市場など、低格付け企業の債務の動向に焦点を当て整理を行った。いずれの市場でも、総じてみれば緩和的な金融環境などを背景に、これまで借り手優位な資金調達が続いてきた。その結果として、低格付け企業の債務残高が増加し、クレジットの質の低下を示唆する動きがみられている。こうしたなか、先行き何らかのショックが生じ、企業の格下げやデフォルトが増加に転じる場合には、企業部門全体のバランスシート調整圧力が高まる可能性には留意する必要がある。

この日銀レビューについて、ポイントを以下挙げます。少し長いかもしれませんが引用します。

  • 投機的格付け企業の資金調達ニーズは、良好な資金調達環境となるなか、米国内での M&A 案件の増加などから、旺盛な状況が続いてきた。企業の資金需要が全体として増加するなか、資金調達手段としては、2015 年以降は HY (ハイイールド)社債よりもレバローンを通じた調達が増加している。これは、投資家にとって、米国の政策金利引き上げ(2015年 12 月以降)に伴う金利上昇リスクに対応する観点から、変動金利商品であるレバローンが HY社債(筆者註=固定金利)よりも選好された点などが主な要因として指摘されている。
  • BB 格以下の投機的格付けの企業のレバレッジは上昇傾向にあるほか、レバローンを活用した企業買収においても、レバレッジの高い案件が増加している。加えて、機関投資家向けのレバローンのうち、第二抵当権付きローン実行額も増加しているほか、コベナントライト・ローン(筆者註=一般に、借り手に課されるコベナンツ(レバレッジの上限や特定資産の売却・譲渡の禁止等を規定する財務制限条項など)が緩和あるいは免除されているローンを指します)の比率も上昇しており、デフォルト発生時のローン保有者の回収率が過去対比で低くなる可能性も指摘されている。(※筆者註=ICE Data Indices が算出する HY 社債指数の構成銘柄のうち、財務指標を取得可能な企業=投機的格付企業のレバレッジ(純債務/EBITDA)の中央値は2008年の2.5倍程度から4.0倍弱まで上昇していることもレポートでは示されています。また、レバローンの新規実行額のうちコベナントライトのローン割合は2010年の10%未満から80%超となっています。)
  • さらに、一部の市場参加者からは CLO のマネージャーによるリスクテイク姿勢が強まる可能性を指摘する声も聞かれている。CLO のマネージャーは、デット部分の安全性を損なわない契約の範囲内で運用を行いつつ、エクイティ投資家からは、エクイティのリターンを高める行動が求められる。そのため、レバローン獲得の競合などにより、投資家が要求しているスプレッド確保などに苦労する場合には、商品が満たすべきクオリティは確保したうえで、より低格付けのレバローンの組入比率の引き上げなどによって、リターン向上を図るインセンティブが存在する点などが指摘されている。
  • 足もとでは、米中間の通商問題等を巡る不透明感などを受けた投資家のリスクセンチメントの悪化や、米国の政策金利引き上げペースが鈍化するとの見方を受けた、投資家にとっての変動金利商品としてのメリットの低下から、スプレッドは幾分拡大している。
    こうしたなか、CLO よりも換金性の高いバンクローン・ファンド(レバローンの約 15%を保有)から、大規模な資金流出がみられる場面もあった。こうした動きについて、投機的格付け企業のファンダメンタルズは、総じてみれば、足もとで悪化しているわけではないため、基本的に、投資家のリスクセンチメント悪化などに伴う一時的な調整と考えられる。しかし、レバローンの質の低下などを投資家が意識し始めた可能性もあるため、今後の動向については注視する必要がある。

以上がレバレッジド・ローン、CLOの動向です。

所見

以上を見てくるとレバレッジド・ローンの増加に伴うCLOという証券化商品の増加等は危険だと考える人は多いのではないでしょうか。

リーマンショック時にはサブプライムローンの証券化商品等が問題となりました。

筆者もレバレッジド・ローンのようなクレジット低い資産はどこかのタイミングで問題となる可能性はあるのではないかと考えています。

ただし、レバレッジド・ローンが人気が出た理由の一つは、米国の金利先高見通しでした。変動金利であれば金利上昇の利益を得られるからです。足元の米国の動向を見る限りでは、金利上昇のペースは緩やかになると想定され、レバレッジド・ローンの大幅な増加=邦銀等が投資するCLOの残高拡大は続かない可能性があります。

そして、何よりも忘れてはいけないのは、CLOの最上位格付分はリーマンショック時にもデフォルト=損失は発生しませんでした。金融危機以降は格付会社の厳格化の流れもありCLOは更に改善(第一抵当権付きローンの構成比率上昇等)が図られています。

証券化商品が「悪」なのではなく、内容・リスクを把握せずに自社の体力以上に投資してしまうことが「悪」なのです。

筆者は、CLOへ邦銀が投資を集中させ過ぎるのはリスクがあるとは思いますし、そもそもレバレッジド・ローンの質が低下しているのであれば、より高い金利(スプレッド)を確保する必要が本来はあると思います。しかし、CLOに投資すること自体が制限されるような金融裁量行政を当局が行うことは問題ではないかとも考えています(まだそこには至っていないとは思いますが、銀行は当局の顔色を伺い忖度するものでもあります)。

リスクの把握と、リスクを過度に集中させないことが大事なのであって、全てのリスクを完全に回避することは出来ません。

日本の金融環境は資産運用を行うには非常に厳しい状況です。それでも、銀行は「どこかで、何かの資産で」運用を行わなければなりません。そのための選択肢を一方的に奪っていくならば、邦銀は運用能力の獲得には至らず、いつまでも低収益に留まり、結果として衰退していくことに繋がりかねません。

当局も、銀行経営者も両者とも冷静に考えていく必要があるのではないでしょうか。