切り戻しと剪定の違いは?
切り戻しのことを、切り戻し剪定と呼ぶことがあります。ただ、園芸では剪定のことをまとめて切り戻しと呼ぶこともあり、狭義では枝を短く切る作業、広義では、樹形の整理や芽摘みなどを含むこともあります。
ただ、本来の切り戻しは、剪定の種類の1つで、透かし剪定、刈り込み・刈り上げ剪定、芽摘みなども剪定のうちの1つです。今回は、広義での切り戻しについてご紹介します。
切り戻しの時期は?どんなタイミングがある?
切り口が乾燥しやすい、よく晴れた午前中に行うのがおすすめです。切り口が湿っていると、病害虫の被害にあいやすく、そこから枯れてしまいます。また、切り戻しのタイミングは、主に3つあります。
1. 花が咲き終わった後
花が終わった後、すぐに花のすぐ下(花首)で切り落とすか、枝元から花を切り落とします。咲き終わった後の花も養分を使うため、残しておくと新芽や新しい花の邪魔になります。
できるだけ早く切り落とすことで、脇芽が出て、ボリューム感も増えますよ。
__________________________________________________
2. 休眠期から目覚める前
一度、バッサリ短く切って、再生を図る場合に行います。株分弱って、古い枝や弱った枝が多い場合に行い、翌年は枝を生長させるためだけの年、翌々年に花が咲くのを待ちます。
植物によって休眠期は夏だったり冬だったりしますが、多くは冬に休眠期を迎えます。一年草など、毎年植える植物を除いて、毎年花が咲く多年草、宿根草、樹木の多くは、休眠期に生長が止まり、花や葉っぱが落ちきって枝だけの状態になっています。
この場合、鉢植えであれば株元から15cm、30cm、1mなど、植物によって一定の短さで全て切り取ります。花が咲きにくい古い枝や弱った枝を一掃できるうえ、休眠期が終わると、徐々に植物が生長を始めるので、新たに枝を伸ばし、花を咲かせてくれますよ。
3. 不要な枝が育ってきたら
風通しを悪くしたり、他の枝や茎の生長の邪魔になったり、樹形を乱す枝を「不要枝」と呼ぶことがあります。休眠期以外の期間であれば、不要枝が伸びてきたら切り取ることで、樹形を保ちます。
切り戻し剪定の方法!どこを切るの?
_________________________________________________
切り戻しで枝を切る場所は、枝元と枝の途中しかありません。ただ、枝の途中で切る場合は、
新芽のすぐ上を切り取ります。新芽とは、枝の途中で少し膨らんでる、次の枝が伸びてくる場所です。
また、切り戻しの対象になる、不要枝をご紹介します。
1. 徒長枝
他の枝よりも生長が早く、勢いよく出た枝のことです。枝元から切ってもいいですが、全体の枝数が少ないときは1/3ほどの長さに切ります。
2. ひこばえ
株元から出てくる、細い枝をひこばえといいます。見つけ次第、株元から切り取ります。
3. 内向枝(逆さ枝、返り枝)
幹(主茎)の方へ向かって伸びる内向きの枝を、内向、逆さ枝といいます。美観を損ね、葉っぱをもっていると他の枝の邪魔になるので、枝元から切り取ります。
4. 車枝
同じ位置から、複数の枝が車輪のように伸びている枝を車枝と呼びます。日当たりや通風に影響しますから、1~2本を残して切り取ります。
5. 立ち枝、下がり枝
真上、真下に向かって生えている枝のことです。樹形を乱し、景観を損なうため枝元から切り取ります。
6. 胴吹き枝
一番太い幹から生えてくる細い枝です。突然生えてくる枝で、「幹吹き」とも呼ばれます。胴吹き枝よりも上部分が弱っているときに発生することもあるので、警告だと思って弱っていないか観察しましょう。枝は、枝元から切り取ります。
7. 絡み枝
交差している枝のことです。どちらかを残して、もう一方を枝元から切り取ります。
8. 平行枝
平行に伸びる枝のことです。生長の妨げになるので、一本だけ残して枝元から切り取ります。
9. ふところ枝
いずれは枯れる、枝の内部から出てくる小枝です。全体的に枝数が少ない場合は、切り取らなくても問題ありませんが、茂っているようであれば枝元から切り取ります。
切り戻しをするときの注意点は?
切り戻しの理想の環境は、清潔なハサミ、ナイフを使って、晴れた日の午前中に行うことです。逆にいえば、不潔なハサミは切り口から細菌が入るのを手助けし、切り戻し後に枯らしてしまう可能性を高くします。できれば切り口は、癒合剤などを塗っておくと安心ですよ。
また、切り戻しのときは手袋をつけて作業をします。枝で指を切ったり、切り口の樹液が付いて肌がかぶれることがあるので注意してください。
切り戻しをマスターしてガーデニングをより楽しもう
切り戻しは、植物の手入れの基本です。ただし、切り戻しの時期、タイミング、切り取る長さは植物によって様々です。不要枝を全て切り取って、スカスカになってしまうとそれこそ寂しい樹形になることもあるので、植物に合わせた適度な時期と切り戻し量を学ぶことが一番難しく、また園芸の楽しみでもあります。切り戻しをマスターして、色んな植物を立派に育ててみてくださいね。