全てのひとり親世帯が経済的な貧困状態にあるわけではありませんが、その割合は高く、平成25年国民生活基礎調査によると、ひとり親家庭の相対的貧困率は2012年の時点で54.6%にまで上ります。大人が2人以上いる世帯の相対的貧困率が12.4%であることに比べると、その貧困率の高さがわかります。
次に年収の絶対値を見ます。平成23年度全国母子世帯等調査によると、シングルマザーの平均年間就労収入が181万円で、その分布は、100万円未満が28.6%、100~200万円未満が35.4%となり、200万円に満たない世帯が約6割を占めています。
母子世帯の母の年間就労収入の構成割合
ひとり親家庭の相対的貧困率
出典:平成27年4月20日 厚生労働省 「ひとり親家庭等の現状について」
「平成23年度 全国母子世帯等調査結果報告」
「平成26年度 学校基本調査」
出典:「平成23年度全国母子世帯等調査」
平成26年度国民生活調査によると、こどもがいる世帯全体の平均所得は696万円であり、相対的にも低い平均年収から、ひとり親家庭の暮らしの困難が想定されます。
現在、日本の子どもの6人に1人が貧困だという。そして、シングルマザー・シングルファザーの家庭の貧困率は50%を超えている。
その家庭環境から、低学歴のまま就職し、学歴がないために年収が低く、年収が低いために子どもを大学へ通わすことができない、などの悪循環が進んでいる。
この情報をもとに、私の高校時代の友人で、中学時代に両親の離婚を経験した女の子に話を聞いた。
彼女は、母親と妹の三人暮らし。母方の祖父が裕福だったため、お金に困ることはなかったという。両親がケンカばかりだった幼少期よりも、離れて暮らす今の方が家庭内の雰囲気は良いらしい。
彼女は今年短大を卒業し、4月からは4年制の大学へ編入する予定だ。
数字だけを見れば、「母子家庭=貧しい」のイメージに繋がりやすい。しかし、それが全てなのか。
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ひとり親世帯に暮らす子どもは約200万人以上
平成23年度 全国母子世帯等調査結果報告によると、日本全国のひとり親家庭の推計世帯数は、母子世帯約124万世帯と父子世帯約22万世帯を合わせて、146万世帯に登ります。
同調査によると、一つの世帯に約1.6人のこどもが住んでいることから、ひと親世帯の元に暮らすこどもの数は230万人程度に登ることが推定されます。
ひとり親世帯に暮らすこどもの大学進学率は全国平均と比較して低く、親の経済状況の影響を受けていると考えられる
厳しい経済状況も影響していると思われますが、ひとり親家庭の元に育つこどもの大学等への進学率は23.9%と、全世帯平均53.7%の半分です。
ひとり親家庭に育つ子どもの大学への進学率
出典:平成27年4月20日 厚生労働省 「ひとり親家庭等の現状について」
「平成23年度 全国母子世帯等調査結果報告」
「平成26年度 学校基本調査」
平成23年度 全国母子世帯等調査結果報告によると、母子世帯の母の最終学歴において、高校卒業が48%と最も多く、大学への進学率は6.9%と全国平均と大きな開きがあります。
母子世帯の母の最終学歴 Published on Aug 1, 2016
出典:「平成23年度 全国母子世帯等調査結果報告」
学歴と収入には相関があることから、ひとり親家庭において、貧困が次世代に連鎖しやすい状況が生まれていることが懸念されます。
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私たちLiving in Peaceは社会的養護の元に暮らすこどもたちを支援していますが、ひとり親家庭で育ったこどもたちが多いのが実情です。例えば、平成25年に厚生労働省雇用均等・児童家庭局が作成した児童養護施設入所児童等調査結果によると、児童養護施設の入所児は約6割がひとり親世帯で育ってきたこどもたちで、里親委託児は約7割がひとり親世帯で育ってきた子どもたちです。