太陽光発電関連事業を手掛けるLooop(東京都文京区)は1月12日、ケニアに出力約40MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設すると発表した。同国キツイ郡(Kitui County)と共同プロジェクトの実施に関して合意し、覚書(MOU)に調印した。

Looopが事業計画を策定し、2018年度中の着工を目指す。用地確保についてはキツイ郡が支援し、同郡の所有する土地を活用する。現在、想定している用地で、40MW程度の発電設備の設置と系統連系などに関し、すでにめどが立っているという。

総事業費は数十億円になる見込みで、Looopの出資額など、具体的な資本金、ファインナンススキームについては、今後、詰めていくという。

発電した電力はケニア電力電灯会社(KPLC)に固定価格買取制度を利用して売電する。同国の制度ではメガソーラーの発電電力は12セント(約14円)/kWhで20年間、売電できる。Looopが自社製の太陽光パネルを供給するほか、建設コストが日本より下げられるため、事業性を確保できるとみている。

2016年12月に都内で行われた覚書調印式には、Looopの中村創一郎社長とキツイ郡のジュリウス・マカウ・マロンベ知事をはじめ、ジョージ・ムトゥク・ムラタャ環境・エネルギー・鉱物投資開発担当大臣、シモン・ンジブワ・ムンドゥ金融・経済計画担当大臣などが出席した。

Looopは、国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学とソーラーシェアリングの共同実験を行った経緯がある。今回の共同プロジェクトは、その実績が評価されたという。南アフリカを除くアフリカで、メガソーラー事業を実施するのは、日本企業単独としては初めての試みとなるという。

ケニアは2008年に、「Vision 2030」と呼ばれる長期開発戦略を策定し、2030年までの中所得国入りを目指している。20%程度に留まっている電化率の向上が課題の1つで、新規の電源開発が推進されている。

キツイ郡は、ケニアの首都ナイロビから約170km南東に位置する。面積は約3万km2で中心都市はキツイ(Kitui)。基幹産業は農業で、特にマンゴーはケニア国内でも主要な生産地となっている。国内外からの投資誘致を積極的に試みている。

中村社長は、「ケニア発のソリューションをアフリカ全域に広げ、エネルギー問題、食糧問題といったアフリカ地域の課題解決に貢献したい」とのコメントを公表した。キツイ郡ジュリウス・マカウ・マロンベ知事は、「このプロジェクトを実現させ、キツイ郡及びケニア国内の電力供給の向上と安定に寄与できることを楽しみにしている」と述べた。

Looopは、長野県諏訪市でも89MWのメガソーラーを建設する計画を進めている。2015年度から環境影響評価の手続きに入っており、2017年度には評価を終え、2018年度に着工、2021年度に稼働する予定だ。

同社は、国内外で並行して巨大な太陽光発電所の建設プロジェクトを進めており、いずれも2018年度から施工段階に移ることになる。