この子のように 生きれば 人生は たのしくなるだろうなあ。
111. ケイタイ・データやSNSは? 死ぬ前にできる「ネット遺産対策」
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ブログやSNSなど、ネットサービスは日々の生活に欠かせないものになってきた。しかし、生きている時は
便利でも死んだ後が厄介。ネット関係の“遺産”はちょっとした悩みのタネになる。
「SNSなどのサービスを提供する業者の多くは、ユーザーが死んだ時のことを想定していません。
遺族が本人のSNSアカウントから死去のお知らせをしたいとか、アカウントを閉鎖したいと考えるのは
自然ですが、そのために業者から故人のIDやパスワードを聞くのは至難の業です」
こうしたトラブルを防ぐサービスもある。グーグルは、3カ月以上操作がなければアカウントを自動的に
削除されるように設定が可能。利用する場合は、本人が生前に設定しておく必要がある。また、フェイスブックは、
家族や友人が「死亡申請」を送信することで、本人のアカウントに他者がコメントを投稿できないように
凍結することもできる。
では、ネット上のポイントサービスなどの“遺産”はどうなるのか。
「楽天エディは、個別ケースで対応すると言っており、ANAマイレージサービスは遺族への引き継ぎを可能と明言しています」
さらに怖いのは、FXや先物取引などのネット取引だ。
「購入した銘柄が死後に放置され暴落したり、多額の債務が残されたままになっているケースもある。
それが遺産相続後に発覚すると、遺族に莫大な負担がかかりかねません」(古田氏)
SNSのパスワードもネット口座も、本人が生前に遺族へのメモなどを残しておくのが、
最も有効なトラブル対策だ。
222.亡くなる直前でも間に合う相続対策があった!3分でわかる「遺言」と「贈与」のポイント
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死ぬ前3年間は贈与ではなく相続財産として計算される
余命宣告を受けてからでもできる相続対策として、遺言書を作ることの他にもうひとつ、生前贈与があります。これは節税対策というよりも、「この資産は○○に」というようなトラブル対策として意味合いが強いものです
たとえば、財産の中でも今スグ贈与できるものといえば、やはり預金です。亡くなる直前でも渡すことができます。
この贈与には、通常の場合であれば、非課税枠が設けられており、1人あたり年間110万円以内であれば税金がかかりません。つまり、この非課税制度を利用した贈与は、早い段階から長期で実行するほどより効果的な生前対策が可能になります。
例えば、子ども3人に年間110万円ずつ、20年間贈与したとすると、330万円×20年=6600万円。早く始めるほど大きい額になります。
しかし、亡くなる前3年以内に贈与した分は相続財産に加えなければならない決まりがあるため、余命半年などの宣告を受けてしまうと使えないことになります。
ちなみに、これに該当する期間に贈与を受け、贈与税を支払っていた場合は、その贈与税額を相続税額から引くことができます。つまり、納めた贈与税は控除できるため、2重に税金を納めることはありません。
法定相続人以外は非課税枠が使える!
この非課税枠の適用には、亡くなる前3年以内を除くという縛りがあるものの、実は抜け道があります。
それは、非課税枠が無効になるのは法定相続人に対する贈与分のみと決められていることです。子どもに贈与した分は課税対象になりますが、孫や兄弟、親戚など、法定相続人以外への贈与は1人あたり年間110万円まで非課税のままなのです。
養子縁組(第2回参照)と違って控除に人数制限はないので、子どもや孫、兄弟、親戚など何人でもOK。人数が多いほど遺産を分散できます。
孫へ生前贈与した場合のメリットはそれだけではありません。
財産が親から子へ、子から孫へと、代々相続されることを考えると、親から孫への贈与は一代飛び越えることになります。
相続税の課税対象とされる回数が2回から1回に減るため、その分さらに節税効果は高くなるのです。
余談ですが、先日、タイで資産家の日本人男性が代理出産で子どもを複数もうけたというニュースが注目を集めました。
その子どもの数の多さには驚きますが、20人近い法定相続人がいれば、相続税は億単位で違ってくることは確かです。この男性が被相続人になったら骨肉の遺産争いは避けられないように思えますが…。
次回は、一戸建て住宅の遺産分割にまつわるトラブルを取り上げます。
(取材/文 佐藤祥子)
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「東京都区内に1戸建てを持つ家族の8割は相続税を払うハメになる」
「父親が亡くなって、次の母親の死亡まで考えて相続財産をわけるほうがお得」
「妻のへそくりは、夫の相続財産に組み入れられる」等誰もが知っておかないとソンをする相続の基本がわかります。
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333.携帯データやSNSは 死ぬ前にできるネット遺産対策
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ブログやSNSなど、ネットサービスは日々の生活に欠かせないものになってきた。しかし、生きている時は便利でも死んだ後が厄介。ネット関係の“遺産”はちょっとした悩みのタネになる。
「SNSなどのサービスを提供する業者の多くは、ユーザーが死んだ時のことを想定していません。遺族が本人のSNSアカウントから死去のお知らせをしたいとか、アカウントを閉鎖したいと考えるのは自然ですが、そのために業者から故人のIDやパスワードを聞くのは至難の業です」
こう言うのは、死とインターネットの関係に詳しいフリーライターの古田雄介氏だ。
それでも日本の業者であれば、事情を伝えれば開示してもらえるが、ツイッターのように海外の業者が相手だと、本社の担当者と英語でやりとりしなければならず、ハードルが高い。
たとえばツイッターで誰かへの恨みを書き連ね自殺したケースでは、他者をなじった言葉がネット上に残されたままになってしまう。闘病ブログをやっていた人が亡くなって、そのコメント欄が風俗広告などの迷惑投稿で埋め尽くされたりすることも。遺族にとってはつらいケースになります」(古田氏)
一部では、こうしたトラブルを防ぐサービスもある。グーグルは、3カ月以上操作がなければアカウントを自動的に削除されるように設定が可能。利用する場合は、本人が生前に設定しておく必要がある。また、フェイスブックは、家族や友人が「死亡申請」を送信することで、本人のアカウントに他者がコメントを投稿できないように凍結することもできる。
■ポイントサービスは引き継げない
では、ネット上のポイントサービスなどの“遺産”はどうなるのか。
「楽天エディは、個別ケースで対応すると言っており、ANAマイレージサービスは遺族への引き継ぎを可能と明言しています。しかし、それ以外、大抵は、ポイントの“相続”を想定していません」(古田氏)
最近は通帳やカードを発行せず、やりとりはネットだけという銀行もある。こうなると遺族が口座の存在にすら気づかなかったりする。
さらに怖いのは、FXや先物取引などのネット取引だ。
「購入した銘柄が死後に放置され暴落したり、多額の債務が残されたままになっているケースもある。それが遺産相続後に発覚すると、遺族に莫大な負担がかかりかねません」(古田氏)
SNSのパスワードもネット口座も、本人が生前に遺族へのメモなどを残しておくのが、最も有効なトラブル対策だ。
■携帯電話やPCのデータは? 一方、死ぬ当人が気がかりなのは、携帯電話の住所録やメール、パソコン(PC)の中の画像を他人に見られることだろう。
「ちょっと知識がある人なら、パスワードがかかっていても、PCからデータを吸い出せます。本人が事故などで急死した場合、遺族だけではなく職場の同僚が“本人が手がけていた仕事を引き継がなければ”と、遺族に頼んでPCの中身を見せてもらうこともある」(古田氏)
さも仕事関係のようなフォルダー名にしてごまかしている人は、遺族や同僚に一発でエロ画像を発見されてしまう恐れは強い。見られたくないデータは、分かりにくいフォルダー名で分かりにくい場所に保存すべきだ。
「その上で、“僕が死んだら……”という無料の遺言ソフトを使う。インストールすると、デスクトップに“僕が死んだら……”というアイコンが表示されます。自分の死後、遺族がPCを開けば思わずクリックしてしまう仕組み。すると事前に用意しておいた遺言メッセージが表示され、遺族がそれを読んでいる間に指定したファイルを自動的に削除してくれるというものです」(古田氏)
携帯電話の場合、パスワードをかけておくだけで比較的安全だ。携帯キャリアーでは、遺族が携帯を引き継いで使うための手続きが可能だが、その場合、携帯本体は初期化される。
いざというとき遺族に苦労をかけないためにも、生前から対策を。
_______________________________」
444.弁護士が考える「自分が死ぬ前にやるべき4つのこと」
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「人生の終わりのための活動」のことですが、実際に自分の死期が近くなってきた際、どのような活動すれば良いのか知っている方は少ないかもしれません。
自分が死んだ後、残された人たち、特に相続人がもめないために、生前にしておくべきことがあります。
本日は、主に法律的な観点から、死後、残された人たちがもめないために、自分が死ぬ前にしておくべきことを4つご紹介します。
●遺産の分配方法を決めておく
自分には全く財産がないという人は特に決めておく必要はないかと思いますが、多少なりとも財産を持っているのであれば、遺言を書いて、死後、自分の財産を配偶者や子どもたちにどのように分配するかを決めておくべきです。
なお、生前、自分の面倒を全くみなかった子どもに対しては、財産を一切あげたくない等特定の相続人だけに財産を相続させない、といったケースもあるでしょう。
しかしながら、相続人には、「遺留分」といって、遺言によって遺産を相続できない場合であっても、最低限遺産を確保することができる権利がありますので(配偶者は法定相続分の2分の1、子は4分の1)、死後、遺産をもらえなかった相続人が、他の相続人に対して遺留分の権利を行使することにより、相続人間で争いが起こる可能性があります。
そのため、もし、自分の相続人の中に財産を相続させたくない人がいる場合であっても、相続人の間に発生する将来の火種をなくすためには、最低限、相続させたくないと思っている人に対しても、遺言によって、その人の遺留分以上の財産を相続させるようにしておくべきでしょう。
●財産の所在を明らかにしておく
被相続人の死後、いざ財産を分けようにも、財産がどこにどのくらいあるのかが分からず、相続人による遺産の調査に手間や費用がかかるというケースが良くあります。
そのため、自分の死後、遺産が速やかに分配されるよう、生前に、自分の財産の所在(不動産であれば登記簿謄本や権利証、預貯金であれば通帳や銀行届出印、保険であれば保険証券等)について記したメモを残しておくべきでしょう。
●債務をなくしておく
被相続人が死亡した場合、プラスの遺産(財産)だけではなく、マイナスの遺産(債務)についても、相続人に相続されます。
そのため、死後、相続人間で債務の支払いについてもめないために、できれば、自分の財産を一部換価してでも、生前に自分の債務はなくしておくべきでしょう。
●喪主や葬儀費用の支払いについて決めておく
死後、誰が葬儀を主宰するのか、その費用は誰が負担するのかでもめるケースがかなりあります。
この点、葬儀費用については実際に葬儀を主宰した者(喪主)が負担すべきであり、相続財産から支出することは許されないとする裁判例もあります。
そのため、自分の死後、相続人間で喪主や葬儀費用の負担についてもめないために、生前、遺言によって、喪主や葬儀費用の支払方法について決めておくべきでしょう。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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555. 臨終から葬儀までに行うこと
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1.遺体搬送をする葬儀社への連絡
対象者:
すべての人の遺族
期日:
亡くなってからすぐ
連絡先:
葬儀社(亡くなる前にある程度の目星をつけておくほうが望ましい)
内容:
遺体の搬送及び葬儀の手配をする。
病院によっては、搬送する葬儀社が指定されている場合も多い。
2.死亡診断書の受け取り・退院手続き
対象者:
すべての人の遺族
期日:
亡くなってからすぐ
申請先:
亡くなった時の病院
内容:
死亡診断書を受け取る(火葬許可証受領に必要)。
亡くなるまでの医療費の精算をする。
3.葬儀の段取り
対象者:
すべての人の遺族
期日:
亡くなってから数日以内
連絡先:
菩提寺の僧侶、近親者など
内容:
葬儀に参列をして欲しい人のリストを作成し連絡をする。
実際の葬儀手続きは、葬儀社主導で行われる。
3.死亡届の提出
対象者:
すべての人の遺族
期日:
亡くなってから7日間
申請場所:
市区町村
必要資料:
医師が発行した死亡診断書
内容:
亡くなったことを自治体に届け出る。
同時に住民票の抹消手続きも行われる。
火葬許可証申請と同時に行うことが大半で、合わせて葬儀社に依頼するのがよい。
4.火葬許可証の受領
対象者:
すべての人の遺族
期日:
告別式まで
申請先:
市区町村
内容:
埋葬に必要な火葬許可証を発行してもらう。
葬儀社に対応してくれるよう依頼したほうがよい。
葬儀が終わったら速やかにやるべきこと
1.年金受給の停止・未支給年金の請求
対象者:
年金受給していた人の遺族
期日:
死亡後速やかに(国民年金は14日以内)
申請場所:
市区町村や年金事務所
必要書類:
年金証書、除籍謄本など
内容:
受給していた年金の停止手続きを行う。
未支給の年金があれば合わせて請求手続きを行う。
2.遺族年金受給申請
対象者:
遺族年金受給対象者
期日:
死亡後速やかに(年金の時効は5年)
申請場所:
市区町村や年金事務所
必要書類:
戸籍謄本
死亡診断書等
内容:
どの遺族年金が受給できるかを確認の上受給申請を行う。
3.介護保険資格喪失届
対象者:
介護保険対象者の遺族
期日:
死亡から14日以内
申請場所:
市区町村
必要資料:
介護保険証
内容:
介護保険利用停止の届出を行う。
ノルウェーの景色だ。懐かしい。英語の字幕で 歌詞が判る。出発の歌。 私の人生も ノルウェー 本当の人生が 始まったように 感じている。ノルウェーは 第2の故郷だ。 家族全員の。
I will go with you. go with you !!
4.クレジットカードの解約
対象者:
クレジットカード利用者の遺族
期日:
死亡後速やかに
連絡先:
各クレジットカード会社
内容:
そのままだと年会費などの引き落としがされるので速やかに解約を申し出る。
5.電気・ガス・水道・NHK・インターネットなどの利用停止
対象者:
一人暮らしの方の遺族
期日:
死亡後速やかに
連絡先:
各事業会社
内容:
一人暮らしの方が亡くなり、利用しなくなった公共サービスも速やかに利用停止手続を。
同居していた場合には、新たな利用者に名義変更をする。
6.生命保険金の請求
対象者:
生命保険加入者の遺族
期日:
死亡から3年以内
連絡先:
各保険会社
内容:
生命保険に加入をしていた場合に請求をする。
死亡により自動的に生命保険金が振り込まれるわけではない。
7.埋葬料の請求等
対象者:
すべての人の遺族
期日:
死亡から2年以内
連絡先:
市区町村や協会けんぽ事務所等
内容:
健康保険加入者に対して、埋葬料の実費相当額として定められた金額が受給できる。
国民健康保険の場合、死亡届提出と同時に行われることが多い。
<参考>
遺産相続に関わる手続き
1.遺言の調査
対象者:
遺言を残された遺族
期日:
死亡後速やかに
調査場所:
自宅金庫などを捜索
内容:
自筆証書遺言を発見した場合、家庭裁判所で検認を受ける(それまで開封しない)。
2.財産の調査・財産目録の作成
対象者:
すべての人の法定相続人
期日:
死亡後速やかに
調査場所:
自宅金庫などから預金通帳や証券会社の取引記録を発見し、各会社に相続開始日現在の残高証明書発行を請求する。
不動産については、所在地の市区町村等に固定資産評価証明書の発行を依頼し、それに基づき法務局で登記簿謄本を入手する。
内容:
遺産の調査をし、発見した遺産について評価額を付した一覧表を作成する
3.葬儀費用・入院費用等の精算
対象者:
すべての人の法定相続人
期日:
死亡後速やかに
内容:
死亡前後に引き出した預金のトレース(使途追跡)をし、葬儀費用や入院費用等の収支明細を作成した上で、立替金等の精算を行う。
4.相続の放棄
対象者:
相続の放棄をしたい遺族
期日:
相続開始を知った日から3ヶ月以内
申請場所:
家庭裁判所
内容:
相続を放棄したい場合に申請する。
3ヶ月以内に放棄をしない場合、自動的にすべての財産を相続することを承認したことに。
手続きは、一人でもできるが弁護士等に依頼するのがベター。
対象者:
亡くなった年に所得があった人の遺族
期日:
相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
申請場所:
亡くなった人の管轄税務署
内容:
亡くなった年の1/1から亡くなった日までの所得について所得税の申告を行う
6.遺産分割協議書の作成
対象者:
すべての人の法定相続人
期日:
死亡後速やかに
内容:
作成した財産目録から誰が何を相続するか協議した結果を書類にまとめる。
この書類を元に不動産や金融資産の名義変更を行う。
7.預金等の名義変更
対象者:
預金等を相続した相続人
期日:
遺産分割協議確定後速やかに
申請場所:
各金融機関
必要資料:
遺産分割協議書(または遺言書)
戸籍謄本等
内容:
遺産分割協議書や遺言書の内容に基づき預金等の名義変更手続きを行う。
8.不動産の相続登記
対象者:
不動産を相続した相続人
期日:
遺産分割協議確定後速やかに
申請場所:
法務局
必要書類:
遺産分割協議書(または遺言書)
戸籍謄本等
内容:
遺産分割協議書や遺言書の内容に基づき預金等の名義変更手続きを行う。
手続きは、司法書士に依頼するのが一般的。
9.相続税の申告
対象者:
基礎控除額以上の遺産を残した人の法定相続人
期日:
相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
申請場所:
亡くなった人の住所地の所轄税務署
内容:
遺産総額(債務控除後)が基礎控除以下であれば相続税の申告義務はない。
ただし、小規模宅地等の評価減などの特例を利用することではじめて遺産総額が基礎控除以下となる場合、相続税の納税はないが、申告書の提出だけは必要になる。
亡くなる前にやっておくべきこと
急に亡くなった場合、どこにいくら財産額があるのかが発見できず、せっかく家族のためにと残した財産が遺族に渡らないということも起こりえます。
また、遺産の相続を巡って、遺族が長期間に渡る係争をすることもあります。
それを避けるために、もっともよいのは遺言書を残すことです。
ただ、遺言書を作成するというのは、本人にとっては、自分の死を見つめることになりますし、家族から言い出すことも難しく、思いの外ハードルが高いものです。
そういう場合には、まずは財産目録を作成してみるところからはじめます。
その際に便利なのは、エンディングノートというものです。
このエンディングノートに重要な連絡先などと一緒に預貯金や加入している保険などの一覧を書いてもらうようにするのであれば、財産目録作成への心理的なハードルは下がると思います。
コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート B5 LES-E101
それすら難しい場合はどうするのか。
その時は、クリアファイルに、銀行との取引記録や保険証券などをひとまとめにしておくようにお願いしてみてください。
どこの金融機関と取引があったのかさえわかれば、あとは、専門家が何とか残高証明を頼りに金融資産を発見できるはずですから。
相続というと相続税の心配をする人が多いですが、すべての人が先にやるべきもっと大切なことがあるんですよね。
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666.相続対策|死ぬ前に家族のためにやっておくべき10の事
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「相続対策」と言えば、真っ先に思い浮かぶのが「『相続税』対策」だと思います。確かに、相続税の節税対策はきわめて重要です。なぜならば、相続税は残されたご家族にとって大きな負担になるリスクがあるからです。また、納税のための資金をどう準備しておいてあげるかということも、頭の痛い問題でしょう。
しかし、相続対策の本筋・最大の難問はむしろ別のところにあります。それは、「誰に」「何を」「どれだけ(いくら)」相続してもらうか、ということです。そのことを決めておかなければ、誰にいくら相続税がかかってくる可能性があるか分からないので、相続「税」対策も意味をなしません。
特に、先祖伝来の家屋敷等の大きな不動産をお持ちの方は、それを切り売りすることなく一人の人に引き継ぎたいでしょう。また、オーナー企業の経営者の方は、自社株式の全部または大部分を後継者に渡したいことでしょう。
ところが、そうしようとすれば、他のご家族に分ける財産がどうしても少なくなってしまいます。考えたくもないことだとは思いますが、最悪の場合、後々、残されたご家族を苦しめてしまうかも知れません。
この記事では、あなたが亡くなった後、残されたご家族が幸せに暮らせるようにするためにやっておくべき10のことについて、筋道を立てて分かりやすく説明していきます。
是非、ご自身の相続対策の方針を立てるのにお役立てください。
はじめに
相続対策で最も重要なことは、あなたの死後もご家族が良好な関係を保てるようにしてあげることであり、それに尽きます。
それさえ実現できれば、相続税のことは二の次と言っても過言ではありません。
そのためには、相続対策は、以下の順に考え、実行する必要があります。
- 家族の遺産をめぐる紛争の可能性を未然に防ぐ
- 家族の相続税の負担を軽くしてあげる
- 家族が相続税を納税する際の資金を準備してあげる
中でも圧倒的に難しく、しかも失敗が許されないのが、「1.家族それぞれに相続させる財産の適正に配分する」です。
特に深刻なのが、あなたの財産のうち、不動産や、ご自身の経営する会社の株式(自社株式)です。これらがあなたの財産の大きな割合を占める場合、各相続人に平等に分けるのはきわめて難しくなります。
というのは、まず、不動産を分けることは物理的に困難です。これはご自身の先祖伝来の家屋敷や、所有しているマンションの建物と敷地等を思い浮かべてみてください。
また、オーナー経営者の自社株は、分けることは物理的には可能でも、事実上困難だと言えます。なぜならば、オーナー企業・同族会社の場合、経営者が株式の大部分を握っていることが重要だからです。
このように、家族間で平等に分割することが困難な財産がある場合、遺産分割協議を行って決めることになります。しかし、そうなると、その財産をめぐって揉めることが多いのです。
仲の良かった家族が、相続をめぐって関係が悪化したという話は枚挙に暇がありません。
あなたの最後の仕事は、亡くなった後もご家族が仲良く暮らしていけるようにしてあげることです。そして、それなくしては、相続税対策どころではありません。
したがって、上の1→2→3の順番は絶対に守っていただかなければなりません。
これから、順を追って説明していきます。
1.家族の遺産をめぐる紛争の可能性を未然に防ぐためにやっておくべきこと
まず、あなたがやるべきことは、ご家族の争いを未然に防いであげることです。そのために、以下の4つの対策が必要です。
対策1|遺言書を残す
対策2|「遺留分の放棄」の制度を利用する
対策3|自社株式を遺留分から排除する手続(中小企業事業承継円滑化法)を利用する
対策4|後継者以外の人の取り分を補てんするため生命保険に加入する
ただ、これらは、機械的に行えば良いというものではありません。なぜなら、誰かに財産を集中させるということ自体、他の人々の取り分を減らしてしまい、その人たちに不満を抱かせることになりかねないからです。
対策1|遺言書を作成する
ご家族の間の争いを防ぐために最低限必要なのは、あなたが遺言を残して、各自の相続分を定めておくことです。
もし遺言を残しておかなかった場合、遺産は、原則として、「法定相続人」の間で、民法で定められた取り分、つまり「法定相続分」にしたがって分けられることになります。
「法定相続人」「法定相続分」については、詳しくは「法定相続人とは?必ず押さえておくべき5つのポイント」をお読みください。
まず、「法定相続人」はあなたが遺言を残さない限り相続人になる人々のことです。
配偶者は常に法定相続人になります。そして、それ以外の人には順位が付いていて、以下の順に相続人になります。
1位:子(養子、非嫡出子も含む)
↓子がいない
2位:親
↓子・親がいない
3位:兄弟姉妹
また、「法定相続分」は以下の通りです。
①配偶者:子 = 1:1(子が複数なら人数で分ける)
↓子がいない
②配偶者:親 = 2:1(両親ともに健在ならば折半)
↓子・親がいない
③配偶者:兄弟姉妹 = 3:1(兄弟姉妹が複数なら人数で分ける)
このように、あなたが遺言を残さないと、法定相続分にしたがって遺産が分けられることになります。
しかし、そうなると、不動産や、自社株式等、物理的に、または事実上分けられない財産を誰が相続するのか、という厄介な問題が発生してしまいます。話し合い(「遺産分割協議」と言います)ですんなり決まれば良いのですが、なかなかそうもいかないことが多いのです。
そういった事態を避けるために、最低限、誰に何を相続してもらうか、遺言を残しておくことをおすすめします。
その際、遺言の様式は法律で厳格に決まっているので、できれば、行政書士・司法書士・弁護士といった専門家のアドバイスを受けて作成した上、公正証書遺言のような確実な形で残しておくことをおすすめします。
ただし、遺言書の作成はあくまで最低限です。
というのは、日本の相続制度は、相続される本人、つまりあなたの意向を100%汲むような制度設計になっていないからです。次に説明します。
対策2|「遺留分の放棄」の制度の活用
遺留分とは
「遺留分」とは耳慣れない言葉だと思いますが、法定相続人(兄弟姉妹以外)の最低限の取り分だと思っておいていただければ結構です。
遺留分は、遺族の生活を最低限保障するための「最後の命綱」だと言われています。つまり、配偶者や子(子がいない場合は親)は通常、多かれ少なかれあなたに経済的に依存しています。そのため、法律上、これらの人々の最低限の取り分が保障されているのです。
遺産の大部分が分割困難な不動産や自社株式等の場合、この遺留分をめぐって厄介な問題があります。
なぜなら、その財産を一人に相続させようとすると、他の相続人の遺留分を食ってしまう可能性があるからです。
この遺留分は、基本的に、遺産総額の1/2です(相続人が親しかいなければ1/3)。
たとえば、あなたに相続人Aさん(配偶者)、Bさん(子)、Cさん(子)がいたとします。そして、財産のほとんどが自社株式で、跡継ぎのBさんに全部を相続させたいとします。
各人の法定相続分は以下の通りです。
〈法定相続分〉
- Aさん(配偶者):1/2
- Bさん・Cさん(子):各1/4(※1/2 ÷ 2人)
そして、あなたが遺言書に「遺産の100%をBに相続させる」と記載したとします。
この場合、AさんとCさんは、Bさんに対し遺留分を主張することができます。
法定相続人が配偶者と子の場合、遺留分は、遺産総額の1/2です。
そのため、AさんとCさんの遺留分は以下の通りになります。
〈遺留分〉
- Aさん:1/2(遺留分)× 1/2(法定相続分)=1/4
- Cさん:1/2(遺留分)× 1/4(法定相続分)=1/8
AさんとCさんは、Bさんに対し、それぞれ、「私の遺留分を侵害した分を賠償しなさい!」と請求することができます。これを「遺留分減殺請求権」と言います。
「それなら、私の生きているうちに、AとCに遺留分を放棄してもらえばいいではないか!」とお思いになるかも知れません。
ところが、そうはいきません。遺留分の権利は、相続開始前に放棄することが原則として認められていないからです。
このように、遺産の大部分を不動産や自社株式といった分割困難な財産が占める場合、それを1人の相続人に相続させようとすれば、どうしても他の相続人の遺留分を侵害してしまうケースが出てきてしまいます。
そのため、対策が必要になります。対策は3つです。
- 「遺留分の放棄」の制度の活用(←この項目で説明)
- 「自社株式の遺留分からの排除」の制度の活用(中小企業事業承継円滑化法)(対策3)
- 生命保険(終身保険)の活用(対策4)
「遺留分の放棄」の制度とは
まずは、「遺留分の放棄」の制度について説明します。
上述のように、遺留分を予め放棄してもらうことは、基本的には認められません。
ただし、それでは不都合なこともあるだろうということで、遺留分の権利を持つ相続人(遺留分権利者)本人が家庭裁判所に遺留分の放棄を申し立てて、家庭裁判所がこれを許可すれば、認められることになってはいます。
平成26年度の裁判所の司法統計月報のデータを紹介すると、「遺留分の放棄」の申立数1195件のうち1135件、つまり約95%が認められています。
裁判所が許可にあたって重視しているのは以下の2つの条件だと言われています。
- 放棄の理由に必要性・合理性が認められること
- 遺留分権利者にある程度の代償が与えられること
まず放棄の理由の必要性・合理性ですが、たとえば「先祖伝来の家屋敷をそのまま残したい」「事業の跡継ぎの経営権を確保するために自社株式を独占させたい」という理由であれば、必要性・合理性が認められやすいでしょう。
最も重要なのは、遺留分権利者に対する「ある程度」の代償です。これはつまり、遺留分権利者本人が物心両面で十分に納得してくれているかということです。実際、上の司法統計のデータによると、遺留分の放棄の許可に至らなかった60件のうち44件が取下げ、つまり、一旦申立てをした後で「やっぱりやめた」と翻意したものです。このデータは、結局、遺留分権利者本人が十分に納得していてくれたかどうかが重要だということを示しています。
遺留分権利者に遺留分の放棄を十分に納得してもらうためには、経済面でのフォローも大事ですが、それにもまして、精神的なケアが欠かせません。日頃から「遺産をあなたに多く残してあげられないけれども、あなたをないがしろにする意図はない。あなたを大切に思っている」ということを、あらゆる方法で伝えることが必要だと思います。
なお、そうはいっても、「遺留分の放棄」の申立てを頼むのはためらわれるかもしれません。その場合は、上に書いたような内容を心を込めて遺書にしたため、残しておくことも一つの方法かも知れません。
対策3|「自社株式の遺留分からの排除」の制度の活用(中小企業事業承継円滑化法)
後継者に自社株式を全部または大部分を集中して相続させたい場合、自社株式を遺留分の計算から排除する方法があります。
「中小企業事業承継円滑化法」という法律で定められていて、以下の3つの条件をみたせば認められます。
- あなたと遺留分を持つ相続人全員との合意
- 経済産業大臣の「確認」
- 家庭裁判所の許可
たとえば、あなたが男性で、妻と子ども3人がいたとします。長男を跡継ぎとして全株式を相続させたいのであれば、妻と下の2人の子との間で十分にコミュニケーションをとって、「跡取りは長男」ということを十分に納得してもらっておく必要があります。
対策4|生命保険(終身保険)の活用
「遺留分の放棄」の制度、「自社株式の遺留分からの排除」の制度のいずれも活用が難しい、ためらわれる、という場合も、まだ、遺留分の対策をする方法はあります。
それは、大きな財産を単独で相続する人のために、他の相続人の遺留分を食ってしまう分を補償するお金を用意してあげることです。
そのために有効な方法が、生命保険、特に終身保険の活用です。
たとえばあなたが会社の経営者で、財産総額6,000万円のうち自社株式が5,000万円を占めるとします。そして、長男を跡取りにしたいとします。
遺言書で自社株式の全部を長男に相続させることにすると、他の遺留分権利者の遺留分を侵害してしまいます。
この場合、あなたは、遺言書の中で、跡取りに対し、他の遺留分権利者に対してお金(「代償交付金」)を支払うように命じておくことができます。
ただし、そのためには、長男に「代償交付金」の資金を準備しておいてあげる必要があります。
そこで、生命保険に加入して、跡取りを生命保険金の受取人にしておくのです。
生命保険金は相続財産に含まれないので、長男は、自身の固有の財産として「代償交付金」に充てることができます。
なお、生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になりますが、「500万円×法定相続人の数」の額について控除を受けられます。したがって、生命保険の活用は、相続税対策としても有効です。
2.家族の相続税の負担を軽くしてあげるためにやっておくべきこと
ご家族の各々に何をいくら相続させるかということが決まったら、次は、そこにかかってくる相続税の負担をできる限り軽くしてあげる必要があります。
対策5|暦年贈与または相続時精算課税制度のどちらかを活用する
対策6|小規模宅地の負担軽減措置を利用する(不動産特有の方法)
対策7|配偶者控除(配偶者の負担軽減の特例)を受ける(不動産特有の方法)
対策8|退職金・死亡退職金を準備しながら会社の資産価値を下げる(自社株式特有の方法)
以下、説明していきます。
対策5|暦年贈与または相続時精算課税制度のどちらかを活用する
相続税対策につながる「贈与税」の対策として、以下の2つの制度について説明します。
- 贈与税の基礎控除(年110万円、「暦年贈与」)
- 相続時精算課税
いずれも、相続税自体ではなく「贈与税」の負担を軽くするものです。しかし、贈与税を軽くすることはそのまま相続税対策にもつながります。
なぜなら、
- 相続税:死亡による財産の移転(=相続)を受けた者への課税
- 贈与税:生前に財産の移転(=贈与)を受けた者への課税
という関係にあるので、相続させるべき財産を生前に贈与して、その際の贈与税の対策をすることは、相続税対策をすることと同様の意味を持つからです。
ただし、「贈与税の基礎控除(暦年贈与)」と「相続時精算課税」は二者択一の関係にあって、両方とも利用することはできません。どちらかご自身に合った方法を選ぶことになります。
これから、それぞれの制度をどういう場合に活用すべきかについて説明していきます。
贈与税の基礎控除|贈与税も相続税も支払わなくて済むかも!
贈与税は、1年ごとに課税されます。そして、毎年、110万円の基礎控除が受けられます。
つまり、1年あたり110万円以下の贈与については贈与税がかかりません。納税申告も不要です。これを別名「暦年贈与」と言います。
ただし、要注意な点があります。相続開始(=あなたの死亡)前3年以内に贈与税の基礎控除を受けた分は相続財産に含まれ、相続税の対象となります。
したがって、贈与税の基礎控除(暦年贈与)を利用すると、
110万円×(贈与年数-3年)
の額について贈与税と相続税の両方がかからないことになります。つまり、暦年贈与は贈与税と相続税の両方の節税になるということです。
ただし、相続税は、あなたの資産の額によってはかからないケースもあります。したがって、あなたの資産の額から考えて相続人に相続税がかかることになる見通しが大きい場合には、暦年贈与を選ぶ方が有利ということになります。
なお、相続人に相続税がかかる場合とかからない場合の区別は以下の通りです。詳しくは「相続税の計算方法|マスターするための5つのステップ」をご覧ください。
〈相続税がかかる場合〉
遺産総額 > 3,000万円+600万円×法定相続人数 の場合
〈相続税がかからない場合〉
遺産総額 ≦ 3,000万円+600万円×法定相続人数 の場合
また、遺産に相続税がかからない見通しの場合でも、1年あたりの贈与の額が贈与税の基礎控除の額の範囲内、つまり110万円以下の贈与をするのであれば、暦年贈与を選ぶのがおすすめです。
相続時精算課税|値上がりする財産の贈与税・相続税の対策に
相続時精算課税とは、合計2,500万円までの贈与については贈与の時点では贈与税がかからず、相続の時点で初めて相続財産に含まれて相続税がかかるという制度です。
また、贈与された財産の価格は、相続の時点ではなく贈与した時の時価で計算されます。たとえば、贈与の時点で1株10万円だったのが相続の時点で20万円になっていたとしても、贈与時の価格である10万円で相続税が計算されます。
相続時精算課税制度の利用は、以下にあてはまる方におすすめです。
〈相続人に相続税がかかる見通しが大きい場合〉
値上がりする見込みがあるか、収益を産む財産を贈与したい
〈相続人に相続税がかかる見通しが小さい場合〉
1度に贈与したい財産の額が110万円を超え、かつ、基礎控除の枠(年110万円)をコンスタントに使う予定がない
これは、贈与する年の1月1日時点であなたが60歳以上、法定相続人(たいていは子、子が死亡していれば孫)が20歳以上の場合に適用されます。
この制度の利点は主に、値上がりする見込みのある財産(自社株式等)、収益を産む財産(不動産等)を贈与する場合に贈与税・相続税の両方の対策になるということです。
また、相続の時まで課税のタイミングが繰り延べられるということなので、遺産に相続税がかかる見通しが小さい場合には、税金がいっさいかからず得をするケースが多いことになります。
ただし、1度に贈与する財産の額が贈与税の基礎控除(110万円)の枠内で、しかもその枠を毎年コンスタントに使う予定がある場合には、基礎控除を選んだ方が得策でしょう。
対策6|小規模宅地の負担軽減措置を利用する(不動産特有の方法)
「小規模宅地の負担軽減措置」は、あなたが所有する以下の宅地について、相続税が特別に軽減されるというものです。
- 自宅の敷地(特定居住用宅地)
- 店舗等、事業に使っていた宅地(特定事業用宅地)
- 人に賃貸していた宅地(貸付事業用宅地)
たとえば、自宅を配偶者が相続するように指示していた場合、その敷地(特定居住用宅地)のうち、330㎡以下の部分については、相続税法上の評価額が80%も差し引かれます。
これを、「小規模宅地の負担軽減措置」と言います。
「小規模」といっても、330㎡は「100坪」、「199畳」に相当するので、かなりの広さになります。多くのマイホームが「330㎡」の条件を充たすでしょう。
なお、「特定居住用宅地」「特定事業用宅地」「貸付事業用宅地」のそれぞれについて、負担軽減措置が適用される面積と、相続税の対象となる評価額は、以下の表の通りです。
対策7|配偶者控除(配偶者の負担軽減の特例)を受ける(不動産特有の方法)
配偶者控除とは
配偶者控除とは、簡単に言えば、配偶者が実際に相続した財産については、法定相続分の額と1億6,0000万円のどちらか大きい金額まで、非課税になるというものです。
具体的には、まず、法定相続分の額が1億6,000万円以下の場合、配偶者が実際に相続した財産の額が法定相続分の額を超えていたとしても、1億6,000万円までは非課税となります。
また、法定相続分の額が1億6,000万円を超えている場合、配偶者が実際に相続した財産の額が法定相続分の額以下であれば非課税になります。
①配偶者の法定相続分の額 ≦ 1億6,000万円 の場合
実際に相続した財産の額 ≦1億6,000万円 ならば非課税
②法定相続分の額 > 1億6,000万円の場合
実際に相続した財産の額 ≦ 法定相続分の額 ならば非課税
この「配偶者控除」を活用すれば、事実上、非常に多くのケースで、相続税がゼロにできます。
配偶者控除の注意点
こう説明すると、配偶者の取り分を極限まで多くしておけばいいようにも思えます。しかし、そうはいきません。
というのは、その後、配偶者から子への相続(第二次相続)の時に、改めて子に相続税がかかってくるからです。つまり、配偶者の取り分を大きくすればするほど、後で、その分だけ子の代の相続税の負担が重くなってしまうリスクがあるということです。
「配偶者控除」は、あくまでも、遺された配偶者の生活を守るために相続税の負担を最大限軽くしてあげるという制度です。したがって、その目的に沿った活用をするにとどめておくべきでしょう。
たとえば、配偶者があなたの死後も引き続き自宅の家屋敷に住み続けられるようにしてあげるようなケースです。
これは 別れの歌ではなく 新たな出発の歌。
対策8|退職金・死亡退職金を準備しながら会社の資産価値を下げる(自社株式特有の方法)
自社株式の価値を引き下げるには会社の資産価値を引き下げるのが有効
後継者にかかる税金の額を抑えるために、株式の価値(評価額)を引き下げることが重要です。
株式の価格の評価方法については、詳しくは「相続税評価額とは?宅地と自社株式の評価基準」をご覧ください。
どの方式で評価額が算定されるにしても、大雑把に言えば、利益が減れば株式の価値が下がると言ってよいでしょう。
会社の資産価値を引き下げるには法人加入の生命保険の活用が有効
利益を減らすには、あなたの退職金または死亡退職金の資金の準備もかねて逓増定期保険、長期平準定期保険に加入することが考えられます。
これらの保険は保険料が高額で、その1/2を損金に算入することで大きな損金を計上できます。その結果、利益が圧縮され、株式の評価額が抑えられることになります。
そして、もしあなたが生前に退職する場合は保険を解約し、解約返戻金を受け取ってそれを退職金の財源に充てることが考えられます。
また、在職中に死亡した場合は、死亡保険金をあなたの死亡退職金として、遺族に支給するようにしておくことも可能です。
逓増定期保険と長期平準定期保険のそれぞれの利用条件は以下の通りです。詳しくは「事業承継対策に役立つ生命保険4種類の活用法」をお読みください。
〈逓増定期保険の利用条件〉
- 超高額な保険料を支払える見通しがあること
- 引退の時期(=ご自身が退職金を受け取る時期)が5~10年後にきっちり定まっていること
- 引退の時期と解約返戻金の受取時期(ピーク)とが同じ年度になるように契約すること
〈長期平準定期保険の利用条件〉
- 高額な保険料を支払える見通しがあること
- 引退の時期が20~30年後に大まかに定まっていること
- 引退の時期と解約返戻金の受取時期(ピーク期間)とがだいたい同じタイミングになるように契約すること
3.家族が相続税を納税する際の資金を準備してあげるためにやっておくべきこと
対策9|相続人を受取人にして生命保険に加入する
たとえば、あなたが株式会社を経営していて、長男を後継者と決めているとします。この場合、長男に事業を承継させるには、あなたの全株式を相続してもらうことになります。
その場合、起こりうる問題は以下の2つです。
- 長男以外の相続人の遺留分を侵害してしまうおそれがある
- 自社株の評価額によっては相続税が多額になるおそれがある
これらのうち、前者の遺留分については、上述のように、「遺留分の放棄」の制度(対策2)や「自社株式の遺留分からの排除」の制度(対策3)の活用、生命保険(終身保険)の活用(対策4)という手段があります。
ここでお話しするのは後者、つまり、相続税が多額になるおそれがある場合に、納税資金を用意しておいてあげるための方法です。
といっても、これは、基本的に「対策4|生命保険(終身保険)の活用」と同じことです。
あなたが個人で生命保険に加入し、後継者を死亡保険金の受取人に指定しておくのです。こうすれば、後継者は死亡保険金で相続税を支払うことができるようになります。
また、相続税の計算の際には「500万円×法定相続人の数」の額について控除を受けられるので、相続税対策としても有効です。
なお、これは、自宅の土地建物や事業用不動産等、大きな不動産を特定の人に相続させるような場合にも同様の方法が可能です。
対策10|相続された株式の一部を相続人から買い取ってあげる(自社株式特有の方法)
後継者が相続税の納税資金に困った場合には、会社法の「自己株式の買取」の制度を利用することができます。
これは、会社が後継者から自社株式を買い取り、後継者が代金を受け取ってそれを相続税の納税の資金に充てるというやり方です。
ただし、会社法では、「自社株式の買取」を行う場合は、会社はその資金を配当可能な利益の中から出さなければならないと定めています。したがって、その分のお金が会社に準備されていなければなりません。
そこで、そのためのお金を会社に準備する方法が、生命保険に法人加入する方法です。
会社が、あなた(経営者)に生命保険をかける方法です。
これには、会社の側で、自社株=自己株式を買い取る資金を準備しておかなければなりません。
この方法をとる場合、会社の側で自己株式の買取資金を準備するために、会社が生命保険に法人契約で加入することが考えられます。つまり、あなたが死亡した場合、会社が死亡保険金を受け取るようにしておくのです。
そうすれば、会社はそのお金を、後継者から自己株式を購入する資金に充てることができます。
この方法は実質的に、会社が後継者のために相続税の納税資金を用意してあげるのと同じことだといえます。
活用する生命保険の種類としては、終身保険、または長期平準定期保険が考えられます。
この記事では詳しくは立ち入りませんが、両者のメリットとデメリットを簡単にまとめると、以下の通りです。詳しくは、「事業承継対策に役立つ生命保険4種類の活用法」をご覧ください。
まとめ
相続対策で何より最も重要なのは、ご家族の遺産をめぐる紛争の可能性を未然に防ぐためにあらゆる方策を講じることです。
そして、それを前提に、相続税対策、つまりご家族の相続税の負担をできる限り軽くし、納税資金を準備してあげる必要があります。
それぞれの段階に応じ、また、相続させようとする財産に応じ、やるべきことがある程度決まってきます。
この記事では不動産と自社株式をメインに取り上げてみましたが、どのような財産についても、基本的な考え方は同じだと思っていただければ結構です。
この記事の内容を理解して、相続対策にお役立ていただければ幸いです。¥
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