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備蓄品について検討する場合に一番最初に行う必要があるのが、どのような状況に対して備えるのかという「状況想定」です。
あらゆるケースを考えれば当然無駄な備蓄も多くなりますので、もっとも頻度の高いケースに的を絞って計画する方が賢明だと思います。
このサイトでは以下の如く被災場面を想定して備蓄を検討しておりますが、これ以外の状況については、本サイトを参考にしてご自分のケースに当てはめ、適宜アレンジしてお考え戴きたいと思います。
何に対しての備えか
被災環境
震災による津波、倒壊、延焼などで住んでいる家を失ってしまうケースよりも、倒壊を免れた自宅、或いは避難所にて、ライフラインの復旧を待つケースの方が圧倒的に多いのはご存知の事と思います。
このサイトでは以下のような被災環境を想定します。
(家が無くなるかもしれないような状況を想定する場合は、備蓄というよりも非常持出しに主眼を置かねばなりません)
- 海岸沿いの低地ではないので津波による家屋への影響はない
- ある程度は耐震性のある建物なので地震による倒壊はない
- 自宅からの出火以外は周囲からの延焼の恐れは余り無い
つまり、災害後に自宅は無事であり、そこで生活をする、又は、避難所生活であっても自宅の備蓄品を活用できるという状況が前提となります。
災害規模
阪神・淡路大震災規模の災害を想定しています。
この災害の概要についてはこちらをご覧下さい。
勿論これ以上の災害が起こらないわけでは有りませんが、近年の大災害で、復旧までの道のりが判明している災害というのが想定理由です。
災害後のライフライン復旧は
阪神・淡路大震災の場合
兵庫県が作成した「阪神・淡路大震災の復旧・復興の状況について」という報告書がPDF版で公開されています。
この報告書の内容や他の情報も参考にすると、震災後のライフラインの復旧状況は概ね下記のようであった事が判ります。
- 電気:7日間
- 電話:15日間
- 水道:91日間
- ガス:85日間
- 下水道:100日間
- ゴミ処理場:35日間
これに対してこのサイトでは復旧までの期間を次のように想定しています。
- 電気、電話の復旧:5日間
- 上下水、ガスの復旧:2ヶ月間
- ゴミ処理の復旧:2週間
以下にその想定理由を説明いたします。
備蓄の為の想定期間は
電気
電気は一番早く復旧することが知られいます。
阪神淡路大震災の復旧期間は7日になっていますが、これは完了期間であり、復旧は被災直後から逐次行われていきますので、平均的な復旧期間はかなり早くなります。
5日程度で復旧すると想定しても概ね間違いは無いものと思います。ちなみに関西電力のホームページでは「地震発生から6日目に応急送電が完了しました。」と記載されています。
よって、電気は5日間で復旧と想定。
電話
前期の復旧期間は固定電話のものであり、最近の情報伝達手段は携帯電話が中心になって来ています。
さて、携帯電話について考えると、充電さえ出来ていれば基地局から電波で繋がるわけですが、実際は通信集中による容量オーバーで通信規制が実施されるのと、やはり基地局が被災または停電によって機能しない為に使えなくなるケースがほとんどです。
いずれにしても携帯本体の充電にも、基地局の電源確保の為にも電気の復旧がキーにキーになります。
電気の復旧が、即ち電話の復旧と考えても問題ないでしょう。
よって、電話は5日間で復旧と想定。
水道
水道も地域ごとに順次復旧していくので、3ヵ月後の完全復旧までを想定期間にするのは少し長過ぎて、過剰な備蓄をすることになると思います。
神戸市水道局の「応急復旧の経緯」によると震災後の通水率は2週間後に50%、2ヵ月後に95%近くにまで回復したようです。
よって、水道は2ヵ月間で復旧と想定。
ガス
都市ガスは電気や水道に比べると復旧の進み具合が鈍いようです。ガス漏れのリスクが大きいので、工事もそう簡単には進まないわけです。
そんな訳で復旧率は2ヵ月後で80%くらいです。
ただ、電気さえ復旧してくれれば、実際の生活でのガスへの依存率は水道などに比べたらかなり低いわけですので80%復旧辺りを一つの目途にしても良いのではないでしょうか。
よって、ガスは2ヵ月間で復旧と想定。
下水道
下水道の場合は配水管の被害もさることながら処理場の被害の程度で担当エリアの復旧に大きく差が出ていたようです。
早い浄水場では一ヵ月後には100%復旧していた所もあるようです。
全体の仮復旧が完了した100日間は、想定としては少し長過ぎるようですので、もう少し短縮して2ヶ月程度としても良いのではないでしょうか。
よって、下水道は2ヵ月間で復旧と想定。
ゴミ収集
ゴミ処理施設の復旧とゴミ収集の開始はどうも関係無いようです。
勿論通常であれば処理施設が使えなければ収集作業も進まないわけですが、実際は被災地以外からの応援や、被災を免れた処理場への搬送によって割合に早い時期からゴミ収集は行われたようです。
よって、ゴミ収集は2週間で復旧と想定。
本ページの災害写真の出展:消防科学総合センターの災害写真データベース
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『災害用の備蓄品や防災グッズ』に関する情報提供を目的にしています。
備蓄品という言葉以外にも防災用品、防災備品、災害用品、災害備品等いろいろな呼び方がありますが、ここでは「災害後の良好な生活環境を確保する為に備蓄すべきアイテム」を主体に構成していますので、「災害備蓄品マニュアル」と名づけています。
さて、備蓄品について検討する際に一番大切なことはなんでしょうか?
それは、「どんな状況に対して備えるのか」という「状況設定」=「想定」です。
的確な想定無しでは、不必要、或いは、偏った備蓄をしたり、本当に必要な物を準備できないという問題が起こります。当サイトにおける備蓄の為の想定は、メニュー「想定条件」に記載しておりますので、皆様それぞれの実状に勘案して、適宜アレンジしながらご利用頂ければさいわいです。
本サイトで関心の高い備蓄品ランキング ベスト10
更新情報
- 2016年4月19日 「サイトマップ(目次)」ページを更新しました。
- 2016年4月11日 「脱出・避難用品」ページを更新しました。
- 2016年4月4日 「電源の確保」ページを追加しました。
- 2016年2月29日 「備蓄品目ー生活備蓄」ページを更新しました。
- 2016年2月8日 「シェルター」ページを更新しました。
- 2016年1月25日 「非常持ち出し品」ページを更新しました。
- 2016年1月18日 トップページ及びデザインの一部を変更しました。
- 2016年1月4日 「ローリングストック」ページを更新しました。
- 2015年12月30日 「ローリングストック」ページを追加しました。
- 2015年12月14日 「高齢者用アイテム」ページを更新し_______________________________________________
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