米中だけで世界の軍事費の半分以上
ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、SIPRI)が先日発表した世界の軍事費動向を集約したレポートによると、2021年の世界全体における軍事費総額は2兆771億米ドル(※)だった。各国の軍事費の現状を同レポートや同じタイミングで更新されたデータベースの公開値から探る。
米ドル/円 136.66円~136.67円 20220819現在 (四捨五入)
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米国 8007億ドル=109兆円 (世界の38.5%) 中国 2934億ドル=40兆円)(14.1%)
インド 766億 ドル=10.5兆円 (3.7%) イギリス 684億ドル=9.3兆円 (3.3%)
ロシア 659 億ドル=9兆円 (3.2%) フランス 566億ドル =7.7兆円 (2.7%)
ドイツ 560億ドル=7.7 兆円 (2.7%) サウジアラビア 556億米ドル 7.6兆円 (2.7%)
日本 541億ドル =7.4兆円 (2.6%) 韓国 502億ドル = 6.9 兆円 (2.4%)
イタリア 320 億ドル=4.4兆円 オーストラリア 318億ドル= 4.3兆円
カナダ 264億ドル 3.6兆円 イラン 246億ドル=3.4兆円
イスラエル 243億ドル 3.3兆円
最初に示すのは主要国の2021年における軍事支出の上位陣国。米ドル換算で統一しており、「*」がついているのはSIPRIによる推定値。またあくまでもSIPRIが軍事費であると認識した額で、主に対外勢力に対抗する物理的国家軍事組織用の執行予算が示されている。北朝鮮など一部の国では推計すらできないため除外されている。
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米中だけで世界の軍事費の半分以上
ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、SIPRI)が先日発表した世界の軍事費動向を集約したレポートによると、2021年の世界全体における軍事費総額は2兆771億米ドル(※)だった。各国の軍事費の現状を同レポートや同じタイミングで更新されたデータベースの公開値から探る。
最初に示すのは主要国の2021年における軍事支出の上位陣国。米ドル換算で統一しており、「*」がついているのはSIPRIによる推定値。またあくまでもSIPRIが軍事費であると認識した額で、主に対外勢力に対抗する物理的国家軍事組織用の執行予算が示されている。北朝鮮など一部の国では推計すらできないため除外されている。
SIPRIの計算による2021年の世界全体の軍事費は2兆771億米ドル。その4割近くをアメリカ合衆国一国が示している。次いで多いのは中国で2934億米ドル、14.1%。為替レートが影響しうること、海外からの購入品もあるとはいえ、単純な軍事費の多い少ないで軍事力の大小が推し量り切れるわけではないが、やはり両国の軍事力の大きさが改めて認識できる。
昨今防衛費関連で一部から多様な意見が出されている日本だが、ここ2、3年はようやく持ち直してきたものの、今回の統計では第9位にとどまっている。
対GDPで比較
軍事費の比較は単純な絶対額だけでなく、その国の実情に考慮すべきとの意見もある。そこで今回は、よく使われる指標の一つ、対GDP比を確認する。これはIMF発表の各国GDPと比較し、その国の軍事支出が何%に値するかを計算したもの。要は各国の経済力に対する軍事支出のバランスを示した値で、かつて日本で指標の一つとされた「防衛費はGNP1%まで」がよい例である(GNP1%枠はすでに撤廃されており、しかもGNPとGDPは別物)。なおグラフは直近年の2021年における軍事費そのものの上位陣に絞り、国の並びも軍事費の大きい順としている。
サウジアラビアが群を抜き、6.59%を示している。次いでイスラエルが5.17%、ロシアが4.08%、アメリカ合衆国が3.48%。日本は1.07%で、中国は1.74%。軍事費上位陣の国はおおよそ1%から2%台に収まっており、日本が一番少ない。
SIPRIの過去の発表リリースなどを基に直近5年分について、軍事費と対GDP比の推移を、2021年時点の上位国に絞ってグラフ化したのが次の図。米ドル換算の際に、為替レートの大きな変動が影響しうるため、あくまでも対外比較指標程度に見てほしい。
アメリカ合衆国が大きな伸びを示しているが、これは中国の台頭を警戒してのものと考えられる。そして中国も同様の伸び方を見せている。東西冷戦の終結後は先進諸国が軍縮、新興国が軍拡の方向を示すのがトレンドだったが、中国の経済成長に伴う軍拡やアメリカ合衆国における対中強硬姿勢が、そのトレンドを変えている。
繰り返しになるが軍事費はあくまでも指標の一つでしかなく、また為替レートで多分に影響を受ける。とはいえ、対外的要因が大きい軍事力の物差しとしては、十分以上に参考になるものに違いはない。
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主要国軍事費の推移
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中国の国防費は 毎年大きくなっている。
2022年は 前年比7.1%増 毎年6~7% 増加している。
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■関連記事:
【上位は米中日の順…主要国のGDPの実情を確認する(2021年版)】
【強い懸念を示す周辺国…領土紛争における東南アジア諸国の対中軍事衝突への懸念度】
※2021年の世界全体における軍事費総額は2兆771億米ドル
発表資料上の値は2兆1130億ドルですが、公開された統計資料の単純合算値は2兆771億米ドルのため、記事の上では2兆771億米ドルを採用します。各種計算にもこちらの値を用いています。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。
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SIPRIの計算による2021年の世界全体の軍事費は2兆771億米ドル。その4割近くをアメリカ合衆国一国が示している。次いで多いのは中国で2934億米ドル、14.1%。為替レートが影響しうること、海外からの購入品もあるとはいえ、単純な軍事費の多い少ないで軍事力の大小が推し量り切れるわけではないが、やはり両国の軍事力の大きさが改めて認識できる。
昨今防衛費関連で一部から多様な意見が出されている日本だが、ここ2、3年はようやく持ち直してきたものの、今回の統計では第9位にとどまっている。
対GDPで比較
軍事費の比較は単純な絶対額だけでなく、その国の実情に考慮すべきとの意見もある。そこで今回は、よく使われる指標の一つ、対GDP比を確認する。これはIMF発表の各国GDPと比較し、その国の軍事支出が何%に値するかを計算したもの。要は各国の経済力に対する軍事支出のバランスを示した値で、かつて日本で指標の一つとされた「防衛費はGNP1%まで」がよい例である(GNP1%枠はすでに撤廃されており、しかもGNPとGDPは別物)。なおグラフは直近年の2021年における軍事費そのものの上位陣に絞り、国の並びも軍事費の大きい順としている。
サウジアラビアが群を抜き、6.59%を示している。次いでイスラエルが5.17%、ロシアが4.08%、アメリカ合衆国が3.48%。日本は1.07%で、中国は1.74%。軍事費上位陣の国はおおよそ1%から2%台に収まっており、日本が一番少ない。
SIPRIの過去の発表リリースなどを基に直近5年分について、軍事費と対GDP比の推移を、2021年時点の上位国に絞ってグラフ化したのが次の図。米ドル換算の際に、為替レートの大きな変動が影響しうるため、あくまでも対外比較指標程度に見てほしい。
アメリカ合衆国が大きな伸びを示しているが、これは中国の台頭を警戒してのものと考えられる。そして中国も同様の伸び方を見せている。東西冷戦の終結後は先進諸国が軍縮、新興国が軍拡の方向を示すのがトレンドだったが、中国の経済成長に伴う軍拡やアメリカ合衆国における対中強硬姿勢が、そのトレンドを変えている。
繰り返しになるが軍事費はあくまでも指標の一つでしかなく、また為替レートで多分に影響を受ける。とはいえ、対外的要因が大きい軍事力の物差しとしては、十分以上に参考になるものに違いはない。
■関連記事:
【上位は米中日の順…主要国のGDPの実情を確認する(2021年版)】
【強い懸念を示す周辺国…領土紛争における東南アジア諸国の対中軍事衝突への懸念度】
※2021年の世界全体における軍事費総額は2兆771億米ドル
発表資料上の値は2兆1130億ドルですが、公開された統計資料の単純合算値は2兆771億米ドルのため、記事の上では2兆771億米ドルを採用します。各種計算にもこちらの値を用いています。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。