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中左 飛岡 健 代表取締役会長。(航空工学者、事業家)
左端 山元雅信 代表取締役社長(山元学校学長)
中右 上田 伸 取締役副社長 (元日本郵政㈱副社長)
右端 堀切亮佑 取締役 (㈱ Entre Terrace コンサルタント)
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111.税理士事務所
名称 | Gemstone税理士法人 |
企業理念 | 「社員の物心両面の幸福を追求します」 「財務会計・税務の能力を活用して、お客様の事業成功を支援します」 Gemstoneとは、宝石として磨かれる前の原石という意味です。 私たちはお客様が磨かれて宝石になるお手伝いをさせていただきます。 またプロフェッショナルとしての自己研鑚に努めることを誓います。 |
価値創造 | 【社員価値】 共通の理念(志)実現を目指す社員に、 プロフェッショナルとしての活躍の場を与え続け、成長するチャンスを提供します。 そして成果に応じた高い報酬で報いる会社、働くことで自分らしさを見つけられ、皆が幸わせになれる会社を目指します。 【顧客価値】 お客様は、Gemstoneにとって 欠かすことのできないパートナーです。「利用していただく」「ご協力いただく」という感謝の精神を忘れることなく、お客様と志をひとつにして、 ともに伸びていくという姿勢を貫いていきます。 【社会価値】 世界に通用する日本企業の事業成功を支援し続けることこそが、社会価値創造につながると考えています。またその過程においても、法令の遵守など、社会との信頼関係を築き、社会の発展に貢献していきます。 |
Partner | 税理士 榎並 慶浩 1975年兵庫県生まれ。 税理士資格を取得後、約10年に渡りJASDAQ不動産会社、東証一部不動産・金融会社で財務部長・経理部長を歴任。2012年9月リーンアカウンティング設立、2016年1月Gemstone税理士法人設立。スタートアップ支援、企業価値評価、ストックオプション評価、上場企業の会計税務支援、決算早期化支援と、幅広く活動中。 |
税理士 熊野 一成 1990年神奈川県生まれ。2017年4月Gemstone税理士法人Partner就任。株式上場・M&A等によるExitをした超富裕層向けの資産税対策等に従事。 |
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住所 | 〒108-0074 東京都港区高輪3-25-22 高輪カネオビル6階A 品川駅徒歩2分 高輪口下車第一京浜を田町方面(右折)徒歩2分です。1階に喫茶室ルノアールのあるビル6階です。 |
地図 | アクセス地図 |
TEL | 03-3442-8004 |
URL | http://gemstonegroup.jp/ |
スタッフ数 | 20名(公認会計士・税理士1名、税理士3名、公認会計士試験合格者1名、税理士試験合格者2名、税理士科目合格者5名、その他8名) 2017年5月現在 |
お気軽にお問い合わせくださいTEL 03-3442-8004受付時間 10:00 – 19:00 [ 土・日・祝日除く ]
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222-1

來住 崇右弁護士きし たかすけ

「とにかく気軽に相談できる弁護士」をモットーにし、顧客満足度を最優先にしております。
事務所のコンセプトや費用について詳しく書いておりますので、事務所ホームページもぜひご覧ください。
https://www.bengoshi-kishi.jp/
【低コスト】
・ご相談は無料です(時間無制限、メールでの無料相談もOK)。
・大半の法律事務所が基準としている日本弁護士連合会の報酬規程の、2分の1~3分の1でお受けすることが通常です。 ご事情に合わせて、さらに着手金を大幅に減額するなどの対応もしております。
・着手金無料の分野もあります(交通事故・建物明渡・マンション滞納管理費・未払残業代・B型肝炎・過払金など)。
・分割払いもOKです。
・顧問料は、原則1万円です。
【高レベルなサービス】
・弁護士としての志をもち、依頼人のためあきらめず最後まで戦います。
・法律の知識だけでなく、民間企業での職務経験を活かした、柔軟な解決が可能です。
・広告で大量の案件を受注して流れ作業(事務員にヒアリングをさせる等)をするというようなことはせず、一件一件、所長自ら丁寧に解決します。
【24時間365日・全国対応】
①面談での無料相談をご希望の方は、メールにて「ご相談内容」と「候補日」をご連絡ください。
②メールでの無料相談もOKです。ご希望の方は、メールにて「ご相談内容」をお送りください。
③無料見積りをご希望の方は、メールにて「ご相談内容」をご連絡ください。
全国出張相談可能です(交通費のみいただきます)。
【経営に関する高度な専門性】
・総合商社(審査部)、㈱大和総研(証券アナリスト部門)、大手財務コンサルティング会社(M&A・事業再生・資金調達・事業承継・不動産有効活用)に長年勤務し、大手法律事務所に負けない経営に関する高度な専門性を有しています。
Ⅵ:企業価値算定・株価算定コンサルティング
当事務所の強み
☑ 昨今、「現時点で予定しているわけではないが、もし他社に事業や株式を譲渡することになった場合、いくらで売れるのだろう。」、「親戚達に散らばっている株式を買い集めて、経営権を強化したいのだが、買うとなるといくら払わないといけないのだろう。」といったご相談を多く受けます。
☑ 当事務所の所長弁護士は、(ⅰ)大手証券会社の証券アナリストとして、上場企業約200社の企業価値評価・株価算定を、(ⅱ)M&Aコンサルタントとして、M&A対象企業の企業価値評価・株価算定を行って参りました。 そのため、速やかに的確な算定をさせていただくことが可能です。
サービス内容
☑ 非上場企業の株価算定
【ご相談フォーム】★ 山元コメント フォームに打ち込み査定をしてもらう。
面談希望の方は、ご希望の日時と、ご相談内容をお書き下さい。 メールでの無料相談・見積り依頼も可能です。
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〒104-0061 東京都中央区銀座6-6-1 銀座風月堂ビル5階
FAX:03-6735-7554 エリア:全国対応可能 対応:365日24時間(要予約)
222-2. さまざまな企業価値の評価方法

企業価値を定量的に算定する方法としては、1つの決定的な正解があるわけではなく、さまざまな手法があります。
ここでは、代表的な3つの手法について、MBAホルダーでもある弁護士がご紹介します。
手法 | インカム・アプローチ | マーケット・アプローチ | コスト・アプローチ |
特徴 | 将来の収益(利益やキャッシュフロー)を推計し、現在価値に換算する。収益還元法やDCF法がある。
収益還元法は、収益を、その収益の大きさに見合った割引率で現在価値に割り引く方法。 DCF法は、将来のキャッシュフローをそのキャッシュフローのリスクの大きさに見合った割引率で割り引く方法。 DCF法については、WACC法とAPV法があります。WACC法について、詳しくはこちら「DCF法で企業価値を算定する」をご覧ください。 |
市場で取引されるとしたら、いくらの価値がつくか、という視点で考える方法。非上場企業の場合、上場している類似会社や類似業種の株価から類推する。これをマルチプル法と言います。
マルチプル法について、詳しくはこちら「マルチプル法〜簡単に企業価値を算出する方法〜」をご覧ください。 |
B/Sの資産側に着目し、それぞれの資産を取得した際のコスト(又は時価)を積み上げていく視点で考える方法。資産側の総額から負債額を引いたネットの額が企業価値となる。
そのためネットアセット・アプローチとも呼ばれる。 簿価で評価する方法と時価で評価する方法(時価純資産法)がある(通常は時価を用いる。)。 |
メリット | 将来の収益獲得力を企業価値に反映させやすい。さまざまなシナリオに基づく企業価値評価ができる。
買収形態や資金調達方法の違いによる節税効果を反映できる。 |
限られた情報源の中で手間を掛けずに算出できる。指標によっては(PSRなど)赤字企業であっても価値が計算できる。 | 一定時点の純資産を評価したい場合に適にしている。 |
デメリット | 項目の多くが算定者の主観になる可能性がある。計算が複雑で時間がかかる。 | 将来企業がいくらキャッシュを稼ぐかという要素が入りにくい。企業ごとの会計基準の違いに影響を受ける。 | 将来企業がいくらキャッシュを稼ぐかという要素が入りにくい。 |
活用例 | 一般的に活用 | ベンチャー企業等 | 不振企業、近い将来の精算を視野に入れた企業 |
評価のポイント | キャッシュフローを予測するために、業界環境等の定性的な要因との整合性のチェックが不可欠。企業価値算定の場合、キャッシュフローの予測期間は実務上5〜10年。
非事業資産(特にキャッシュ)の見積もりがポイント。 |
比較対象企業の選定がポイント。 | 適切な時価が算定できない資産の査定がポイント。 |
評価アプローチの一般的な特徴について
下記は各評価アプローチ及び評価方法を選定するにあたり、ポイントとなると思われる各アプローチの特徴です。
●:優れている ○:やや優れている △:問題となるケースもある
カテゴリ「ファイナンス」の弁護士コラム
333.優先株式
優先株式とは種類株式の一つであり、普通株式とは違う権利が付与されている株式です。
そのため優先株式は通常株式とは違う扱われ方をします。
優先株式は投資家にとっては魅力的なものですが、その特性やメリット・デメリットをちゃんと把握しておかなければ予想通りのリターンを得られない可能性があります。
今回は優先株式の特徴やメリット・デメリット、ベンチャー企業における優先株式の役目などをお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。
優先株式とは
最初に優先株式とはどういうものか、その概要をお伝えします。
優先株式は黄金株なども該当する種類株式の一つであり、その名の通り配当や剰余金を優先的に受け取れる権利が付加されている株式のことをいいます。
普通株式より様々な権利が付加されている株式である以上、優先株式は普通株式より株価が高く設定されている点が特徴です。
そして優先株式には大きく分けて3種類のタイプがあり、普通株式の株主と同じ分配を追加で受けることができる「参加型株式」、普通株式の株主と同じ分配を受けることができない「非参加型株式」、そして制限付きで普通株式の株主と同じ分配を受けることができる「制限参加型株式」があります。
さらに、当該事業年度の配当金が不足し、本来分配されるべき配当金の総額に達していない場合、不足分を次年度に発生した剰余金から優先的に受け取ることができる「累積型」と不足分を次年度以降に繰り越すことができない「非累積型」もあります。
このように優先株式は配当や剰余金の分配において普通株式の株主より優先的に得られる権利が付加されています。
そのため優先株式には議決権が付加されていなかったり、他の株式に転換できないように制限が加えられているというパターンがほとんどであり、普通株式の株主のように会社の経営に参加するための株式というより、配当金や剰余金の分配で利益を得たいという投資家向けに発行されている株式だといっても過言ではないでしょう。
そしてこの優先株式を持っている株主は優先株主と呼称されます。
日本ではまだ普通株式で投資する投資家が多いですが、欧米では優先株式での投資がスタンダートになっています。
優先株式は普通株式と比べて株価が高額になるため、普通株式を取得して投資するよりもリスクは高くなるといえますが、その分リターンが大きくなる可能性が高いものです。
そのため、純粋に株式を保有することで利益を得たいという投資家には優先株式は一番都合がいい株式だといえます。
もちろん会社側にとっても他の株式より高い株価で投資家に取得させることで資本金の増額を狙うことができるため、優先株式の提供は有益なものだといえます。
また、詳しくは後述しますが、優先株式はM&Aにおいても重要な影響を及ぼすことがあります。
優先株式の影響を踏まえてM&Aを実行したい際には、M&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
また、費用に関しても国内最安値水準ですのでご安心ください。
M&A総合研究所は全国のM&A案件の取り扱いをしており、中小企業のM&Aも実現させる仲介会社です。
規模の小さい企業がM&Aを実施することが考えられますが、そのような案件にも対応しています。
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優先株式のメリット・デメリット
優先株式は投資家にとって、会社にとってもメリットがあるように聞こえますが、当然メリットだけでなくデメリットも存在しています。
経営に関するあらゆる事柄がそうですが、実践するならメリット・デメリットを適切に把握しておくことが重要です。
ここでは優先株式のメリット・デメリットをそれぞれご紹介していきます。
優先株式のメリット
優先株式のメリットは投資家と会社にそれぞれあります。
①投資家にとっての優先株式のメリット
さきほどもお伝えしたように、株式を保有していることで利益が得ることを重視している投資家にとって、投資家に優先的に配当や剰余金を分配できる権利が付加されている優先株式は非常にメリットがあるものです。
とりわけ伊藤園が発行している優先株式のように、投資家にとって魅力的な条件が付加された優先株式もあり、株式売買で利益を上げたいのならぜひとも取得しておきたいところです。
②会社にとっての優先株式のメリット
会社にとっての優先株式のメリットは多くあります。
第一に優先株式は株価を高く設定できるため、資金調達がやりやすくなります。
ベンチャーキャピタルのような企業では種類株式で増資することが多く、機関投資家からの投資を受けにくいベンチャー企業では投資家が集めるには優先株式が有効的な手段として働きやすくなります。
それに優先株式は自己資本比率の調整にも使える点も有益だといえるでしょう。
また、議決権が制限されていることが多い優先株式の形態自体も会社にとってメリットがあります。
議決権が制限されていることは、いってしまえばその株主は会社の経営に介入することができません。
そのため会社側からしたらしっかり資金調達を行いつつも、株主の発言権を抑制しやすくなります。
株主は資金調達をしてくれるありがたい存在ではありますが、議決権を有している場合だと会社の経営に影響してくる可能性が高くなります。
とりわけM&Aや取締役の選任など、会社が大きく変わるような場面で株主が反対するようなことになれば思うように経営ができず、重要な戦略が成立しなくなってしまう恐れすらあります。
しかし優先株主は議決権が制限されている優先株式を保有してあり、会社の戦略に介入することはないため、経営への影響を抑えることができます。
そもそも優先株式を購入する投資家は株式の保有による利益を重視している傾向があるため、会社の経営に積極的に介入しない可能性が高くなります。
そのため会社の経営にそこまで積極的に介入しないような投資家を集めるために優先株式を発行するということも可能です。
優先株式のデメリット
優先株式のデメリットも投資家、会社によってそれぞれ異なっています。
優先株式のデメリットは以下の通りです。
①投資家にとっての優先株式のデメリット
投資家にとっての優先株式のデメリットは大きく分けて2つあります。
まず投資家のスタンスによって優先株式はメリットが得られないという点が挙げられます。
優先株式は保有しているからこそ配当や剰余金の分配が優先的に享受できるというメリットがありますが、裏を返せば保有していなければメリットを得られないということでもあります。
そもそも優先株式は上場している会社でも一般市場で売買するものではないため、流動性が普通株式より劣っています。
つまり株式を売買することで利益を得たいと考えている投資家にとって優先株式は不向きなものだといえます。
そして2つ目のデメリットは議決権が制限されていることが多いため、優先株式を発行している会社の経営に難があった場合でもブレーキをかけることが難しいという点です。
そのため万が一会社の経営が傾くような事態が発生したとしても優先株主は介入することができません。
介入できる範囲が限られているという事態は株主にとっての不利益が生じてしまう場合もあります。
会社の中には優先株式に拒否権を付与して優先株主の権利を保護できるようにしているケースもありますが、全ての会社がそうしてくれているわけではないので注意しておきましょう。
ただベンチャー企業の優先株式では議決権への制限がないケースが多く、制限されることは少ないといったこともあります。
②会社にとっての優先株式のデメリット
会社にとっての優先株式のデメリットは優先株式に伴うイメージによるものだといえます。
さきほど優先株式は資金調達の手法として使えるものと述べましたが、そもそも日本における優先株式を用いた資金調達は会社の資金繰りが傾いてきた際に使われる救済手段というニュアンスが強いものです。
そういったニュアンスが強いからこそ、優先株式への投資は日本では一般的になっておらず、また一般市場で流通していないといえます。
加えて会社側にとっても優先株式のような種類株式は発行する際に定款の変更を行ったり、株主総会を開催した後に種類株主総会を開催するなど管理の手間が増えることから、優先株式を避けるというケースも少なくありません。
制度の整備こそ進んでいますが、救済手段以外で優先株式を活用した例は日本では少なく、救済手段というイメージが払拭できていなかったり管理の手間がかかってしまう事実がある以上、日常的な資金調達の手段として優先株式が浸透するのはまだまだ時間がかかると考えられます。
ただし、伊藤園の優先株式が知名度を上げている事例があるように、伊藤園のような投資家にとって魅力的な優先株式が今後登場したり、優先株式の発行・取得がより有益になるような制度が登場すればこの傾向は変化する可能性はあります。
しかし、優先株式へのイメージが変わってない以上、M&Aのような場面で売り手の会社が優先株式を発行していると、買い手が警戒してしまうようなこともあるかと思います。
優先株式の発行の有無を含め、売り手の会社の条件を自分の条件と合致させたい際はM&A総合研究所のM&Aプラットフォームを活用しましょう。
M&A総合研究所のM&Aプラットフォームは独自のAIを採用しており、買収ニーズを登録するだけで条件の合う売り手をマッチングします。
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優先株式設計のポイント
優先株式を発行する場合、どのように優先株式設計を行うかを入念に考えておく必要があります。
ただ優先株式設計において、理想的な優先株式を指し示すような決まったひな型はありません。
既存の優先株式もその種類は多種多様であり、いずれが正解かという答えはありません。
あくまで優先株式はその会社の実情に合わせて、会社にとって不都合なリスクはどういったものかを峻別して設計し行うべき事柄であるからです。
しかし優先株式設計を行ううえで注意しておきたいポイントは2つあります。
①優先株式設計と配当コスト
優先株式設計のポイントで押さえておきたいのは配当コストです。
優先株式はそもそも優先株主に対して有利な分配を得られるような権利を付加されているものです。
しかしそういった権利を付加している以上、優先株式の配当コストはかなり大きくなっていきます。
配当コストがかかるようになれば優先株式を発行するだけでも会社のコスト増大になってしまう可能性もありますし、優先株式の維持も難しくなる恐れもあります。
ただ優先株式は保有しておくことで投資家がメリットを得られるような仕組みになっているため、配当コストを懸念して優先株式を通じて得られる利益を抑制してしまうと投資家が取得してくれない可能性もあります。
そういった点を踏まえると配当コストと優先株式が提供する利益のバランスは会社の実情に合わせて設定した方がいいでしょう。
冒頭でお伝えしたように優先株式は参加型株式、非参加型株式、制限参加型株式、そして累積型・非累積型といった様々な形式を選ぶことができます。
当然参加型株式、累積型のように優先株主にとって利益が大きい設定はその分配当コストがかかってしまうものです。
だから優先株式を発行する際には配当コストと優先株式が提供する利益のバランスはそれぞれの形式を十全に検討したうえで設定することがおすすめです。
②優先株式設計における議決権制限範囲
優先株式設計のもう1つのポイントは議決権を制限する範囲です。
先述したように優先株式は議決権を制限しているケースが多いですが(ベンチャー企業は逆に制限しない場合が多いです)、これには株主の経営への積極的な介入を避けたいと同時に会社の意思決定を迅速に進めたいという意図があります。
優先株式のような種類株式は種類株主総会を開催する必要性が出てくるため、会社が迅速に意思決定を行いたい事案がある場合でも株主総会に加えて種類株主総会を追加で開催する手間がかかります。
また種類株主総会決定事項の範囲に制限をかけておかないと、あらゆる事案に対して持株比率が少ない優先株主を意思決定に介入できるような事態になってしまい、さらに意思決定が遅滞してしまう恐れがあります。
そういった事態を避けるためにも種類株主総会決定事項の適用範囲を定めておくなど、議決権に一定の制限は行っておく必要はあります。
ただ、優先株主が不利益を被るような事態になれば本末転倒になるため、優先株主の権利・利益を保護できる範囲で制限をすることが重要です。
また役員選任権のような特定の事案に対する権利も注意を払っておく必要があります。
こちらも制限を定めておかないと持株比率が低い優先株主を意思決定に参加させなければならなくなることになるので、慎重に設定しておく必要があります。
しかしいずれの事案にせよ、優先株式を普通株式に転換することで議決権を確保させるという手法を使う際には注意が必要です。
こういった手法はかえって種類株主総会を行う必要性を下げてしまうため、結果的に無駄なプロセスを構築してしまう可能性を高めてしまいます。
先述した配当コストと同様、会社の実情や理想的な意思決定を考慮したうえで優先株式の設定を行う必要があります。
優先株式の評価
優先株式の株価を設定する際に留意しておきたいことが優先株式の評価です。
優先株式は普通株式と違い、会社の実情や種類によって内容が大きく異なり、様々なオプションが追加されているため複雑化しやすいという特徴があります。
加えて一般市場で優先株式が取引されないのが日本の現状であるため、優先株式には市場価格が実質的に存在していません。
そのため優先株式は見合った評価モデルを利用して評価を出すことがセオリーとなっています。
優先株式の評価モデルは格子モデル、ブラックショールズ式などといったものが一般的に使われます。
しかしこれらの評価モデルは優先株式の特性に見合ってないことが多く、正確な評価ができないリスクを孕んでいます。
例えば評価モデルは市場流動性があることを前提にしていることが多いですが、優先株式は一般市場で自由に取引できないことが現状であるため、評価モデルでは非流動的な優先株式の売買を網羅できないという点があります。
こういった例以外にも評価モデルは優先株式の実情と食い違っている点は少なくないため、充分留意しておく必要があります。
まとめ
今回の記事をまとめると以下のようになります。
- 優先株式とは配当や剰余金の分配などを優先的に受けられる権利が付加された株式。
- 優先株式は投資家にとっては保有していることで利益が得られ、会社にとっては株主の議決権を抑制した株式で資金調達ができるというメリットがある。
- 優先株式のデメリットは議決権が制限されるため投資家の発言権が下がったり、会社にとっては優先株式を使用した資金調達がまだ一般化されていないという点が挙げられる。
- 優先株式設計のポイントは配当コストと議決権を制限する範囲の2つが挙げられる。
- 優先株式の評価は普通株式と異なり、いくつかの評価モデルを用いて行う。
- だが評価モデルと優先株式の実情は食い違っていることが多いので留意しておく必要がある。
優先株式は投資家にとっても会社にとってもメリットがあるものですが、デメリットもちゃんと存在しています。
そして何よりも優先株式を用いた資金調達はまだ日本では救済手段というイメージが強く、一般化されていないため、そのメソッドがまだしっかり確立されていないものです。
しかし伊藤園のように発行された優先株式に投資家の注目が集まったり、優先株式を用いた資金調達がより有益になるような制度が整備される可能性は充分にあります。
その時に備えて優先株式の知識を持っておくことは経営者にとっても投資家にとっても重要なことだといえるでしょう。
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444.ストックオプションとは?仕組みやメリットなど経営者のための基礎知識
現在は小さい会社だけれども、将来成長しそうなベンチャー企業の場合、有能な人材が「ストックオプション」をもらえるという条件で社員として入社したり、外部顧問に就任したりといったことがあります。ストックオプションには、どのような魅力があるのでしょうか。ここでは、ストックオプションのしくみやメリット・デメリットなどについて解説していきます。
- ストックオプションとは?
ストックオプションとは、株式会社の従業員や取締役が、自社株をあらかじめ定められた価格で取得できる権利です。
まず、会社が従業員や取締役に対して、あらかじめ定められた金額(権利行使価格)で、会社の株式を取得できる権利を付与します。従業員や取締役は、将来、株価が上昇した時点でストックオプションの権利を行使します。その時点で、会社の株式を権利行使価格で取得し、その後、時価で株式を売却することになります。権利行使価格と株価上昇分の価格との差が、利益として得られるという報酬制度です。従業員や取締役への報酬額が、その会社の業績向上による株価上昇と連動します。そのため、ストックオプションの権利を付与された側にとっては、業績向上したときの、実質上のインセンティブにもなります。
なお、このストックオプションは、アメリカで始まった制度です。日本では、1997年5月の改正商法において、ストックオプション制度が認定されました。
ストックオプションのしくみ
ストックオプションのポイントは、「あらかじめ決められた期間内であれば、あらかじめ決められた価格で株式を購入できる」ことです。
例えば、株価が1株1,000円のとき、「今後5年間はいつでも自社の株を1,000株まで1株1,000円で購入してもいいですよ」というストックオプションを付与されたとします。その後、会社の業績が好調で株価も上昇し、3年後には株式市場で1株2,000円になったとします。その時点でも、従業員や取締役がストックオプションの権利を行使することで、自社株を1,000円で購入できることになります。市場価格では1株が2,000円ですので、1株あたり1,000円も安く株を購入できることになります。もし、100株を1株1,000円で購入して、そのときの時価である1株2,000円で売却したら、「1株1,000円の利益×100株」で10万円の売却益を得られるわけです。
反対に、会社の業績が悪化したり不祥事を起こしたりしたことで、5年のあいだに株価が下がったとします。その場合には、ストックオプションの権利を行使しなければ、株を購入したことになりませんので、損をすることはございません。
ストックオプションに向いている企業は?
ストックオプションは、株式を売りたいときに自由に売ることができなければ、付与された側のメリットがあまりございません。そのため、ストックオプションを導入するのは、将来は株式上場を目指すベンチャー企業か、すでに上場している企業となります。ストックオプションを採用している会社には、IT系のベンチャー企業などが多いです。成熟した企業の場合、株価が短期間で何倍・何十倍に上昇することはほとんどございません。しかし、成長途上のベンチャー企業の場合、事業がうまくいって株式上場までこぎつけることができれば、短期間で株価が急上昇することがあります。そのため、ストックオプションの価値が高まることになります。
ストックオプションは何株まで?
ストックオプションは、何株まで配るかどうか株数で見るのではなく、持分比率で考えましょう。持分比率とは、「会社が発行した全株式に対して対象者が所有する株数の割合のこと」であり、パーセンテージで表記されます。ストックオプションでは、この持分比率をどのくらいの割合にすればいいのか、明確なルールがあるわけではございません。
しかし、一般的には、ストックオプションの持分比率を10%程度にすることが多いようです。なぜかというと、ストックオプションの権利行使で同時期に多くの株が買われた場合、既存の株の価値が薄まり、既存株主が不利益を被ってしまうからです。また、ストックオプションの発行比率が10%を超えていると、上場時の審査で弊害となる可能性もあります。持分比率は、常に気にするようにしましょう。
ストックオプションのメリット
ストックオプションには、さまざまなメリットがありますので、確認していきましょう。
・優秀な人材を確保しやすくなる
ストックオプション制度があることで、将来的なインセンティブを広くアピールできるので、より優秀な人材を確保できるようになります。さらに、入社した優秀な人材が「ストックオプションの権利を行使する前に辞めたら損だ」と考えるようになり、人材の流出を防ぎやすくなります。
・従業員のモチベーションがアップする
ストックオプションを付与することで、従業員や取締役のモチベーションアップにつながるでしょう。自社の業績が向上すればするほど株価が上昇して、ストックオプションでの利益が大きくなります。そのため、従業員や取締役が、「会社の価値を上げる」という点で一致した目標を持ちやすくなります。
・権利付与された従業員のリスクがない
個人的に自己資金で株式投資をする場合にあるリスクが、ストックオプションにはございません。従業員が自社株を購入した場合、株価が下落した際には損失を被ります。しかし、ストックオプションの場合、万が一株価が下落したら、そのときは権利を行使しなければ損失はゼロとなります。通常の株価取引と比べてリスクはゼロだといえます。
ストックオプションのデメリット
ストックオプションには多くのメリットがありますが、デメリットもありますので確認しておきましょう。
・業績悪化でのモチベーション低下
どんなに成長性がある会社でも、業績が悪化して株価が下落する可能性はあります。そのとき、ストックオプション制度が目当てで入社した従業員や取締役は、働くモチベーションが下がることは否めません。
・社内で不協和音が発生する
ストックオプションを得ている従業員や取締役と、そうでない従業員や取締役が混在している場合、社内で不協和音が発生することがあります。ストックオプションを付与する基準を、明確に定めておくことが重要です。会社業績への貢献度、勤続年数などの基準が考えられます。
・権利行使後に社員が離れる
ストックオプション制度を前面に押し出して採用した人材の場合、金銭的な価値に重きを置いていることがあります。そのため、ストックオプションの権利を行使して、多額の利益を得た後はすぐに会社を辞めてしまう可能性があります。
ストックオプションの税制優遇措置とは?
ストックオプションで得られる利益に対しては、税制優遇措置があるかどうかは、条件によって違います。税制優遇措置が設定されない「税制非適格ストックオプション」と、税制優遇措置がなされる「税制適格ストックオプション」について、確認していきましょう。
税制非適格ストックオプション
税制非適格ストックオプションとは、税制優遇措置が設定されていないストックオプションのことです。ストックオプションの権利を行使したときの時価が、権利行使価格を上回っている場合、その差額は「給与所得」となり、所得税が課税されることになります。さらに、株式譲渡における売却価格と権利行使時の時価との差額の利益分については「譲渡所得」となり、所得税が課税されます。
税制適格ストックオプション
税制適格ストックオプションとは、税制の優遇措置を受けることができるストックオプションのことです。税制優遇措置を受けるには、付与対象者要件や権利行使期間要件など、下記のすべての要件を満たさなければなりません。税制適格ストックオプションに該当すると、ストックオプションの権利行使をした時点では課税はされません。株式譲渡における売却価格と権利行使価格との差額が譲渡所得となり、そこに所得税が課税されることになります。
<税制優遇措置を受けるための要件>
- 付与対象者が、自社の取締役・執行役または使用人およびその相続人であること(一定の大口株主およびその特別関係者を除きます)
- 付与対象者が、発行株式総数の50%超を直接または間接に保有する法人の取締役、執行役または使用人およびその相続人に該当している
- 権利行使期間が、付与決議の後2年を経過した日から、付与決議の日の後10年を経過するまでのあいだであること
- 権利行使価格が、ストックオプションについての契約締結時の1株あたりの価額以上であること
- 権利行使価格が、年間1,200万円を超えないこと
ストックオプションの種類
これまでに解説してきたストックオプション以外にも、ストックオプションにはさまざまな種類があります。それぞれの特性を理解した上で、どのストックオプションを自社の従業員や取締役に付与するかを決めましょう。
通常型ストックオプション
通常型ストックオプションは、会社の業績が向上したときのインセンティブの意味を持たせた一般的なストックオプションです。権利行使価格は、権利付与したときの株価以上に設定します。権利を行使するときに権利付与したときよりも株価が上昇していれば、その差額が利益となります。
株式報酬型ストックオプション
株式報酬型ストックオプションは、権利行使価格を1円といったように低い価格に設定します。それによって、ストックオプション付与者は、実質的に権利を行使する時点での株価と同等分が利益となります。「1円ストックオプション」とも呼ばれており、退職金の代わりとして利用される場合もあります。
有償ストックオプション
有償ストックオプションは、権利付与したときの株価で新株予約権を発行します。この時点で将来、新株を購入しなければならないという条件がつきます。権利行使をするときに価格が上がっていれば、その差額が利益となる形態です。ただし、権利を行使するときの株価が権利付与時より下がってしまった場合には、損を被ることになる可能性があります。