Earth Milk Project 川に沈めるだけの発電機 Cappa 軽水力が未来を築く 

★元気を貰える こんなお話をお聴きした。 ネパールや インドから見たら 聖人に見えることだろう。 
インドのバンガロールの研究所に いらっしゃるころ インドの実態を知って 人生観が変わったという。
______________________________________________
杉山龍丸さん ほか 何人かいらっしゃる。物理学の博士の菊池さんは 
家業をついで ついに このような発電機を開発した。インドでは 120ワットあれば 
一つの家庭で 電球2個 洗濯機 テレビ ケータイ充電 など 幾つかの家電の電源として 
十分 普通の生活ができる。  これ5台で 1キロワットを得られるそうだ。
もちろん 水流だとか それぞれの現場に
相応しいものをつくり 専用のものを 簡単につくれるそうだ。 ネパール インドだけでなく 
ケニアなど 未だに電気を弾いていない村々が 半分以上あるので 応用も聞く。 元気が出てくる。
人間の事業とは このようなものにしたい。優しさに満ちている。文字通り、光を当てる仕事だ。 
いろいろな記事や 関連の動画も 参考にアップさせて頂いた。菊池さんのお話は 興味がつきない。
___________________________________________
水流を利用した 小規模発電は いろいろある。私もバングラデシュで 導入をしようとしたこと
があるが 当時の組んだ人の人選を間違え お金が消えて頓挫した経緯がある。発展途上国の仕事は
一筋縄では 行かない。
インドでは 1984年~1987年まで ずっと出かけており、ONGCというインド石油開発公社向けの
海上石油掘削機のリグやプラットフォームで通っていた。 幾つもの受注をしたり ヒンダスタン造船所に
船形のドリルシップ2隻の技術移転 の責任者をやったことがある。
大変 貴重な経験をさせてもらった。貧しい職人さんが 働かないことをみて 建白書を書いたり 
必死に 作業がいかに大切か 地道な努力が 必要なこと 力を合わせて 一緒に船を創ろうなど 
様々な提案書をださせて頂いたことがある。 
インドの人達は 信用してもらえないと 中々 作業や交渉事が 進まない。
 一番 手っ取り早いのは 話している時に相手の手を取り 背中を撫でながら 
横に座って 2,3時間ぶっとうしで 潤順とやさしく
話すことだ。200人 時には 300人位を前にして ずっと話し続ける。 この癖が 何年も抜け切れず
にいたが その習慣が消えて久しい。
______________________________________________
これは かなり勇気のいることだった。当然 カレーの匂い、体臭が 気になるうちは ダメで
本腰をいれて 一生懸命 がんばった記憶がある。おおお 余談になってしまった。
ごめん。さあ しっかりお話を聴いてみよう。これを広めれば
安価に 世界の光の当たらない人たちが 夜も昼も 明るくなることは 間違いない。
21世紀の世界 まだまだ 灯りが ともらない地域が 貧しい地域 人里離れた地域では 殆どだ。
______________________________________________________
https://youtu.be/ZJG6px-FPH4?t=9
_______________________________________________________

2017年10月24日

理論物理学者から下請け社長 常識破りの発電機で「ヒマラヤに光を」長野 剛

ネパールのポカラにCappaを導入しました。

JICA普及実証(ODA事業)の第一弾として、11月3日に、ネパール国カスキ群ポカラ市のram mandir temple

(ラム・マンディール寺)にCappaを導入し、導入のデモンストレーションイベントを実施しました。

イベントでは、弊社社長 菊池がご挨拶とCappaについてのプレゼンテーションを行い、現地のAEPC

(代替エネルギー普及センター)や、日本大使館、JICAネパール所長、ポカラ商工会議所会長、

カスキ郡知事からお祝いの挨拶がありました。その後、日が暮れる頃に、JICA所長、AEPC、カスキ群知事、

ポカラ商工会議所会長の4人で一緒にCappaを持ち、お寺前の用水路に投入すると、お寺のLED照明と

イルミネーションが一斉に点灯、ライトアップされ、携帯電話のチャージ・ステーションも稼働を開始し、

観客から歓喜の声が上がりました。

 

また、水路で発電をするために、事前に地元住民による「用水路のお掃除作戦」が数回実施されたり、

環境調和型の自然エネルギーを活用した地域コミュニティーの活性化にもCappaが一役かっています。

 

今後は、カスキ群の小学校や中高一貫校にも水力発電機を導入して参ります。

ネパールで土木工事の要らない水力発電機の説明をする菊池伯夫さん(左)=茨城製作所提供

ネパールで土木工事の要らない水力発電機の説明をする菊池伯夫さん(左)=茨城製作所提供

 日立製作所の企業城下町で、下請け工場が居並ぶ茨城県日立市。そこで今、理論物理学者から中小企業社長に転身した菊池伯夫さん(40)が、世界初という土木工事不要の水力発電機を、ヒマラヤの山村に届けようとしています。英オックスフォード大で博士号をとり、世界で研究してきた菊池さんは、畑違いに思える経営も「誰もしたことのないことに挑むという意味で、研究に似ています」。電気普及を足がかりに災害予測までしてしまおうという菊池さんに、その研究者流ビジネスを聞きました。

時代に対応することで
歴史を重ねてきた私たちは、
その歴史を
これからも変わらずに
守っていきます。株式会社 茨城製作所
代表取締役社長 理学博士
菊池 伯夫Norio Kikuchi,D.Phil.
 業界初、「川に沈めるだけ」で発電

 菊池さんが社長を務める茨城製作所は、従業員約100人のモーターのメーカー。祖父の代から続く会社で、製品は主に日立グループに出荷しています。2013年、菊池さんが主導して開発した初の自社製品、小型水力発電機Cappaは、大人2人で抱えて運べる大きさ。川や水路に沈めるだけで電気を生む、土木工事いらずの水力発電機です。

菊池伯夫さん=茨城県日立市の茨城製作所

菊池伯夫さん=茨城県日立市の茨城製作所

 小川や水路で発電する小水力発電、というのは再生可能エネルギーの世界では珍しいものではありません。ただ、従来のものは流れをせき止め、水を高い場所から配管を通じて低い場所に落とすことで強めた水流で、発電します。川の水流をそのまま生かす、というお手軽スタイルは、Cappaが初、らしいです。

「水力=ダム。そんな既成概念に『なんで?』を突きつけ、それを覆す。研究者だった頃と同じ発想で取り組みました」と、菊池さん。お話の最初から研究者スピリッツ全開です。

普通は「ダム」が必要

 従来の水力発電は、高い場所に水をためることで得た位置エネルギーを電力に変えること。川や水路に沈めるだけのCappaの場合、そこを流れている水の運動エネルギーを電力に変えることになります。

川に沈めるだけで発電する「Cappa」=茨城県水戸市

川に沈めるだけで発電する「Cappa」=茨城県水戸市

 「位置エネルギーは簡単に大きくできますが、運動エネルギーって小さいんですよ。公式を見ても分かりますよね」

高校時代に習った公式を思い出せば、位置エネルギーは「重さ」×「高さ」×「重力加速度」で、運動エネルギーは「重さ」×「速さの2乗」÷2。重力加速度は9.8なので、1キロの水を1メートルの高さにためた位置エネルギーは9.8ジュール。急流とされる流速2メートル毎秒でも1キロの水の運動エネルギーは2ジュール。確かに、そうです。

ヒントはF1、常識破る

 「だから、水力業界は目の前を流れる川の水流には目を向けて来なかったんですが、本当にそうなのか? 何か工夫はないのか? って考えたんです」

で、レース好きの菊池さんが思い出したのが、留学先のオックスフォード大学の近所に有名チームの拠点が居並んでいたF1のことでした。

なぜF1が解決策になるのか、菊池さんに教えてもらった=茨城県日立市

なぜF1が解決策になるのか、菊池さんに教えてもらった=茨城県日立市

 限りなく高速を追求するモータースポーツでは、車体にかかる風の力もスピードに変える工夫がされています。菊池さんが応用したのは、ディフューザーと呼ばれる車体の形状で、車の下を通り抜ける風の速度を上げることで気圧を下げ、車体を地面に押しつける仕組みです。

要するに、発電用の水力をとらえるプロペラにより早い水流を当てるため、プロペラが入る管の形を工夫する、というのが、流水での水力発電を可能にした技術でした。その結果、元の水流をそのまま使った場合の3倍超の発電が可能になりました。

電気のない世界へ届けたい

 そうして得られたCappaの発電能力は約200ワット。それでもさほど大きな発電力ではありません。「でも、LEDなら十分な照明を得られますし、スマホなら40台同時に充電できます。電気の通っていない地域なら、十分に役立ちますよね」と菊池さんは言います。

Cappaが目指す市場は、そうした電気の通わない国外の貧しい地域。普及準備に入っているネパールでは、電気が通らず、歩いてしかいけないようなヒマラヤの山村でも携帯電話の電波が届く地域は多く、電気が届くだけで、現代の情報世界にグッと近づけます。

ネパールの地元企業との連携も始まった=茨城製作所提供

ネパールの地元企業との連携も始まった=茨城製作所提供

 ネパールでは、2015年から国際協力機構(JICA)の支援を受け、地元企業と共同で普及に取り組んでいます。すでに現地試験も済み、現地生産の準備を行いつつ、11月から実際の設置が始まる予定です。

 

学者時代は注目論文も

 菊池さんは実家の茨城製作所に戻るまで、理論物理学者として活躍していました。国外の研究機関で研究を続け、他の研究者による引用が100~200件になるような論文も複数書いています。

菊池さんが理論物理学者時代、書いた論文。筆者に「N.Kikuchi」の名前が

菊池さんが理論物理学者時代、書いた論文。筆者に「N.Kikuchi」の名前が

 名門科学誌ネイチャーに掲載された論文の平均より1桁多い注目度の論文も残す業績を上げながら、なぜ、家業を継ぎに日立市に戻ってきたのでしょう。

「それは秘密です。気まぐれってことになってます」とはにかむ菊池さん。ただ、2009年、専務付けの経営者見習いとして働き始めた当初から、「社会に貢献するビジネスをしたい」と思っていました。

転機はインド生活「システムが気になった」

 「いや、元々は海外に行けばきれいないい感じのホテルを選んで泊まるような男だったんですよ。でも、インドで働いたときの経験が大きくて…」

2007年から2年勤めたインド科学研究所は、国内でも有数の研究所。なのに、停電はしょっちゅうだし、水道は1日2時間しか出ないことも。町に出れば、超お金持ちから貧困にあえぐ路上生活者までが一目で目に入ってきます。

インド科学研究所で働いていた頃の菊池さん=菊池さんのFacebookから

インド科学研究所で働いていた頃の菊池さん=菊池さんのFacebookから

 「こんなことで社会が回っていくんだろうか」

自然界がどんな仕組みで動いているのか、を追求するのが物理学。「なのでね、システム的なところが気になっちゃうんです。社会にしても、このままの仕組みで永続的に動かしていくことができるのだろうか、って」

思い返せば、生まれ育った日本もそれまで研究生活を送った欧州でも、企業は自らの利益追求が中心。社会を永続させるための自らの役割を考えたビジネスはほとんど無いのではないか。そう思い至ったといいます。

得意分野で挑む「研究者時代と同じ」

 帰ってみれば、日立グループの下請けの仕事が多い家業。感じたのは「最後は日立が守ってくれる」という暗黙の意識でした。与えられた仕事をきちんとこなせばいい、という受け身の姿勢。他方、自分が歩んできた道は、常に自分自身で研究テーマを開拓してゆく一匹狼のスタイルでした。

「これだけじゃダメだ。自立した仕事もやっていかなくては」。リスクを負ってでも、主体的に考え、動き、強くならなければ生き残れない。そしてやる以上、社会の循環に寄与できるビジネスを。それが、企業人としての菊池さんの原点です。

茨城製作所はモーターのメーカー。元々、日立系列の下請けの仕事が多い=茨城県日立市

茨城製作所はモーターのメーカー。元々、日立系列の下請けの仕事が多い=茨城県日立市

 小水力発電を選んだのは、発電機の原理が家業のモーターと同じで、技術の蓄積が生かせること。そして、研究者時代の専門、ソフトマター物理学と水を扱う流体力学の類似性があることでした。「得意分野を使って、誰もやったことのない世界に挑んでいく。これも研究と同じですね」

今、築きつつあるCappaのビジネスは、ネパールの現地企業に下請けとしてCappaを製造してもらい、茨城製作所として現地でCappaを販売。稼働中のメンテも現地企業に委託します。自社の利益も上げながら、ネパールの消費者、企業と共存共栄できる道を狙います。

実証試験をしたネパールの山村=茨城製作所提供

実証試験をしたネパールの山村=茨城製作所提供

電気あれば防災にも! 広がる構想

 電気のない地域に電気がつけば、村人の生活が豊かになるのはもちろん、そこに降水量や水質などの観測装置を置くことも可能になります。山岳地帯にも広がる携帯電話網を使えば、計測データをリアルタイムで収集でき、災害予測にもつながるのでは?

そんなアイデアもわき、すでにネパールの官公庁ともコンタクト中。水質に気を遣うマスの養殖業者からも、関心を示されているとのことです。

ビジネス=「研究者と同じやりがい」+「お客さんの笑顔」

 えらく絶好調なお話ばかりですが、研究者スピリッツだけでは通じない世界もあるんじゃないですか?

「研究と違い、前提条件を自分で設定できない。人間相手なので、同じ条件にいつも同じ反応が返ってくるわけでもない。パラメーターが多すぎる大変な世界ですけど、ピリピリしてチャレンジングで楽しいです。出会いや仲間の助け、そしてお客さんの喜ぶ顔という新しい喜びもありますしね」

ネパールでの実証試験=茨城製作所提供

ネパールでの実証試験=茨城製作所提供

 と、どこまでもポジティブな菊池さん。今度のネパール行きは10月28日から。現地での初のCappa実践導入に立ち会う予定です。

 

オックスフォード大学博士の中小企業社長が開発した水力発電機とは

_____________________________

理論物理学者から転身、下請け社長が常識破りの発電機 川に沈めるだけ、「ヒマラヤの山村に電気届けたい」菊池伯夫さん

10/24(火) 7:00配信

withnews

 日立製作所の企業城下町で、下請け工場が居並ぶ茨城県日立市。そこで今、理論物理学者から中小企業社長に転身した菊池伯夫さん(40)が、世界初という土木工事不要の水力発電機を、ヒマラヤの山村に届けようとしています。英オックスフォード大で博士号をとり、世界で研究してきた菊池さんは、畑違いに思える経営も「誰もしたことのないことに挑むという意味で、研究に似ています」。電気普及を足がかりに災害予測までしてしまおうという菊池さんに、その研究者流ビジネスを聞きました。(朝日新聞・長野剛記者)

【写真特集】なぜ今まで思いつかなかった! オックスフォード大博士の中小企業社長が開発した水力発電機

業界初、「川に沈めるだけ」で発電

 菊池さんが社長を務める茨城製作所は、従業員約100人のモーターのメーカー。祖父の代から続く会社で、製品は主に日立グループに出荷しています。2013年、菊池さんが主導して開発した初の自社製品、小型水力発電機Cappaは、大人2人で抱えて運べる大きさ。川や水路に沈めるだけで電気を生む、土木工事いらずの水力発電機です。

小川や水路で発電する小水力発電、というのは再生可能エネルギーの世界では珍しいものではありません。ただ、従来のものは流れをせき止め、水を高い場所から配管を通じて低い場所に落とすことで強めた水流で、発電します。川の水流をそのまま生かす、というお手軽スタイルは、Cappaが初、らしいです。

「水力=ダム。そんな既成概念に『なんで?』を突きつけ、それを覆す。研究者だった頃と同じ発想で取り組みました」と、菊池さん。お話の最初から研究者スピリッツ全開です。

普通は「ダム」が必要

 従来の水力発電は、高い場所に水をためることで得た位置エネルギーを電力に変えること。川や水路に沈めるだけのCappaの場合、そこを流れている水の運動エネルギーを電力に変えることになります。

「位置エネルギーは簡単に大きくできますが、運動エネルギーって小さいんですよ。公式を見ても分かりますよね」

高校時代に習った公式を思い出せば、位置エネルギーは「重さ」×「高さ」×「重力加速度」で、運動エネルギーは「重さ」×「速さの2乗」÷2。重力加速度は9.8なので、1キロの水を1メートルの高さにためた位置エネルギーは9.8ジュール。急流とされる流速2メートル毎秒でも1キロの水の運動エネルギーは2ジュール。確かに、そうです。

withnews

_______________________________________________________________________________________________________

ヒントはF1、常識破る

 「だから、水力業界は目の前を流れる川の水流には目を向けて来なかったんですが、本当にそうなのか? 何か工夫はないのか? って考えたんです」

で、レース好きの菊池さんが思い出したのが、留学先のオックスフォード大学の近所に有名チームの拠点が居並んでいたF1のことでした。

限りなく高速を追求するモータースポーツでは、車体にかかる風の力もスピードに変える工夫がされています。菊池さんが応用したのは、ディフューザーと呼ばれる車体の形状で、車の下を通り抜ける風の速度を上げることで気圧を下げ、車体を地面に押しつける仕組みです。

要するに、発電用の水力をとらえるプロペラにより早い水流を当てるため、プロペラが入る管の形を工夫する、というのが、流水での水力発電を可能にした技術でした。その結果、元の水流をそのまま使った場合の3倍超の発電が可能になりました。

電気のない世界へ届けたい

 そうして得られたCappaの発電能力は約200ワット。それでもさほど大きな発電力ではありません。「でも、LEDなら十分な照明を得られますし、スマホなら40台同時に充電できます。電気の通っていない地域なら、十分に役立ちますよね」と菊池さんは言います。

Cappaが目指す市場は、そうした電気の通わない国外の貧しい地域。普及準備に入っているネパールでは、電気が通らず、歩いてしかいけないようなヒマラヤの山村でも携帯電話の電波が届く地域は多く、電気が届くだけで、現代の情報世界にグッと近づけます。

ネパールでは、2015年から国際協力機構(JICA)の支援を受け、地元企業と共同で普及に取り組んでいます。すでに現地試験も済み、現地生産の準備を行いつつ、11月から実際の設置が始まる予定です。

学者時代は注目論文も

 菊池さんは実家の茨城製作所に戻るまで、理論物理学者として活躍していました。国外の研究機関で研究を続け、他の研究者による引用が100~200件になるような論文も複数書いています。

名門科学誌ネイチャーに掲載された論文の平均より1桁多い注目度の論文も残す業績を上げながら、なぜ、家業を継ぎに日立市に戻ってきたのでしょう。

「それは秘密です。気まぐれってことになってます」とはにかむ菊池さん。ただ、2009年、専務付けの経営者見習いとして働き始めた当初から、「社会に貢献するビジネスをしたい」と思っていました。

 

 

 

______________________________________________________________________________________________

withnews

転機はインド生活「システムが気になった」

 「いや、元々は海外に行けばきれいないい感じのホテルを選んで泊まるような男だったんですよ。でも、インドで働いたときの経験が大きくて…」

2007年から2年勤めたインド科学研究所は、国内でも有数の研究所。なのに、停電はしょっちゅうだし、水道は1日2時間しか出ないことも。町に出れば、超お金持ちから貧困にあえぐ路上生活者までが一目で目に入ってきます。

「こんなことで社会が回っていくんだろうか」

自然界がどんな仕組みで動いているのか、を追求するのが物理学。「なのでね、システム的なところが気になっちゃうんです。社会にしても、このままの仕組みで永続的に動かしていくことができるのだろうか、って」

思い返せば、生まれ育った日本もそれまで研究生活を送った欧州でも、企業は自らの利益追求が中心。社会を永続させるための自らの役割を考えたビジネスはほとんど無いのではないか。そう思い至ったといいます。

得意分野で挑む「研究者時代と同じ」

 帰ってみれば、日立グループの下請けの仕事が多い家業。感じたのは「最後は日立が守ってくれる」という暗黙の意識でした。与えられた仕事をきちんとこなせばいい、という受け身の姿勢。他方、自分が歩んできた道は、常に自分自身で研究テーマを開拓してゆく一匹狼のスタイルでした。

「これだけじゃダメだ。自立した仕事もやっていかなくては」。リスクを負ってでも、主体的に考え、動き、強くならなければ生き残れない。そしてやる以上、社会の循環に寄与できるビジネスを。それが、企業人としての菊池さんの原点です。

小水力発電を選んだのは、発電機の原理が家業のモーターと同じで、技術の蓄積が生かせること。そして、研究者時代の専門、ソフトマター物理学と水を扱う流体力学の類似性があることでした。「得意分野を使って、誰もやったことのない世界に挑んでいく。これも研究と同じですね」

今、築きつつあるCappaのビジネスは、ネパールの現地企業に下請けとしてCappaを製造してもらい、茨城製作所として現地でCappaを販売。稼働中のメンテも現地企業に委託します。自社の利益も上げながら、ネパールの消費者、企業と共存共栄できる道を狙います。

__________________________________________________________________________________________

10/24(火) 7:00配信

withnews

電気あれば防災にも! 広がる構想

 電気のない地域に電気がつけば、村人の生活が豊かになるのはもちろん、そこに降水量や水質などの観測装置を置くことも可能になります。山岳地帯にも広がる携帯電話網を使えば、計測データをリアルタイムで収集でき、災害予測にもつながるのでは?

そんなアイデアもわき、すでにネパールの官公庁ともコンタクト中。水質に気を遣うマスの養殖業者からも、関心を示されているとのことです。

ビジネス=「研究者と同じやりがい」+「お客さんの笑顔」

 えらく絶好調なお話ばかりですが、研究者スピリッツだけでは通じない世界もあるんじゃないですか?

「研究と違い、前提条件を自分で設定できない。人間相手なので、同じ条件にいつも同じ反応が返ってくるわけでもない。パラメーターが多すぎる大変な世界ですけど、ピリピリしてチャレンジングで楽しいです。出会いや仲間の助け、そしてお客さんの喜ぶ顔という新しい喜びもありますしね」

と、どこまでもポジティブな菊池さん。今度のネパール行きは10月28日から。現地での初のCappa実践導入に立ち会う予定です。

_____________________________________________________________________________________________________