Basic Income  日本の現状 世界の現状 170828(Mon)

★ NHKがタイムリーに特集をやってくれた。判り易い。 ざっと見てみよう。

★ さらに重要なビデオを4本載せておきました。 日本では 所得格差が危機的な

状況まで来ております。解決の糸口が更に必要となっています。解決策の一つが、

ベーシックインカムです

★ 本当に必要な部分だけでも 取り入れて町や都市の一つで まずは実験開始する

価値があると考えています。この際 じっくり勉強しましょう。明るい日本を

つくるため。

_______________________________

2017年7月27日(木) 「ベーシックインカム」で何が変わるか

なかなか解決策が見いだせない、格差や貧困の問題。

2017/07/22 あなたの仕事は大丈夫?【衝撃】人工知能によって消える職業10選

① 工場作業員

② 郵便配達員

③ 秘書

④ 外科医

⑤ 小売店の従業員

⑥ 鉄道作業員

⑦ 保険の査定員

⑧ 旅行代理店

⑨ 運転手

⑩ 農作業員

____________________________________

全国で最も生活保護を受けている人の数が全国で最も多い大阪市では、

年間およそ3,000億円を生活保護費に使っています。
生活保護の人にさまざまな就労支援をしていますが、仕事を得て

自立した人の割合はわずか4%。
政策の効果がなかなかあがっていないと言います。

大阪市保護課 難波勉課長
「なかなか就労に結びつかないのが現状。」

格差や貧困は世界共通の課題です。
どうすれば解決の糸口をみつけることができるのか。
そこで注目されているのが、「ベーシックインカム」。
いったいどんな制度なんでしょうか。

高瀬
「初めて聞いた方もいらっしゃると思います。


この『ベーシックインカム』という制度が私たちの暮らしや経済をどう変えるのか、

その可能性について、おはBizキャスターで経済部デスクの豊永さんと

ともに考えていきます。
まずは、『ベーシックインカム』という制度どのようなものなのか教えてください。」

豊永
「日本語で言うと『基本所得』と訳されます。
『すべての人』に『無条件』で『毎月、一定額』を支給するという、れっきとした社会保障政策なんです。
ポイントは、この『無条件』です。

生活保護や失業保険などは、受給するためにさまざまな手続きがあったり、所得や仕事の有無が問われますが、『ベーシックインカム』は何の制限もなく自動的に国からお金が振り込まれる仕組みなんです。」

和久田
「実際にベーシックインカムを導入している国はあるんですか?」

豊永
「正式に導入している国はありませんが、北欧のフィンランドでは、今年(2017年)1月から実証実験をはじめています。
国家レベルでの社会実験に取り組んでいて、実際に、就労に結びつくケースなども出てきているんです。
『ベーシックインカム』によって何が変わるのか。
現地で取材しました。」

福祉国家 フィンランドに異変

充実した福祉政策で知られるフィンランド。

豊永
「首都ヘルシンキの中心部です。
街を歩いていると、それほど景気の悪さというのは感じませんが、失業率がかなり高い状態が続いているということなんです。」

フィンランドの失業率は、8.8%。
この日見たのは、地元の教会が行っている無料の食料配付。
失業者を中心に1,000人以上が集まっていました。

失業者
「経済状況は最悪です。
ここでなんとか食いつないでいます。」

「ベーシックインカム」がシングルマザーを救う

こうした中、今年1月から、フィンランド政府は全国の失業者から無作為に2,000人を選び出し、毎月およそ7万円を支給するベーシックインカムを始めました。
実験が始まって7か月。
この制度によって、生活を立て直すことができたという女性を訪ねました。

マリ・サーレンバーさん30歳。
11歳の息子を育てるシングルマザーのサーレンバーさんは、去年(2016年)10月、勤めていたスーパーマーケットを解雇されました。
頼りになるのは、月8万円の失業手当だけでした。

マリ・サーレンバーさん
「毎日不安でした。
子どもの教育費や電気代などの生活費を払うことで精いっぱいでした。」

解雇されて2か月後、サーレンバーさんのもとに政府から手紙が届きました。
「ベーシックインカム」の対象者に選ばれたという知らせでした。

マリ・サーレンバーさん
「私は今ここで働いています。」

現在、サーレンバーさんは印刷所とスーパー、2つの仕事を掛け持ちして働いています。
「ベーシックインカム」によって仕事を再開し、生活は大きく変わったのです。
失業した後、サーレンバーさんは、国から月8万円の失業手当をもらって生活していました。
ただし、収入が4万円を超えると減額されます。
仮に今と同じように仕事をすると、手当はほとんどなくなります。
一方、「ベーシックインカム」の支給額は7万円。
働いても減額されることはありません。
そのため、7万円を安定した生活費として使い、次々と仕事をすることにしました。
その結果、収入は、合計で22万円に上りました。

「ベーシックインカム」によって、サーレンバーさんは働くことに前向きになり、経済的な余裕が生まれたのです。

息子
「お母さん、今は仕事があるから忙しいね。」

マリ・サーレンバーさん
「でも経済的には今のほうが楽よね。」

マリ・サーレンバーさん
「とても前向きな気持ちで仕事ができます。
ずっと抱えていた経済的な不安もなくなって安心しています。
将来はフルタイムで働いて、自分の給料で生活を支えたいです。」

「ベーシックインカム」 政府の狙いは

なぜフィンランドは「ベーシックインカム」の社会実験を行うことにしたのか。
社会保険庁の責任者に聞きました。

「なぜベーシックインカムの導入実験をすることにしたのですか?」

社会保険庁 ベーシックインカム責任者 オッリ・カンガス氏
「我々が歴史の中で形づくってきた社会保障制度が未来にわたって通用するのか、疑問が投げかけられているのです。
この制度で人々が働くことに目覚め、生活を改善させる可能性があるのです。」

「ベーシックインカム」 失業者を起業家へ

「ベーシックインカム」をきっかけに新たな挑戦を始めた人もいます。
ユハ・ヤルヴィネンさん、38歳。
先月(6月)、自ら手がけた工芸品を生産する会社を設立しました。
木彫りの楽器を、フィンランドだけでなくノルウェーまで売りに行きます。

ユハ・ヤルヴィネンさん
「1点、4万円から13万円で売っています。
先日はアメリカのコレクターからも注文が入りましたよ。」

ヤルヴィネンさんは戸建て住宅の窓枠を作る会社を経営していましたが、6年前、倒産。
再び事業を立ち上げる機会をうかがっていましたが、起業すると失業手当が打ち切られてしまうため、踏み切れませんでした。
今年1月、失業手当に変わってベーシックインカムが支給されたヤルヴィネンさん。
生活費を確保できるようになり、思い切って起業したのです。

ユハ・ヤルヴィネンさん
「ベーシック・インカムによって、私は人間性を取り戻すことができました。
今の私は目先の生活に左右されず、将来の可能性を信じることができます。」

今回行われているベーシックインカムの社会実験。
その意義について、専門家に聞きました。

ベーシックインカムを提唱する歴史家 ルトガー・ブレグマン氏
「これまでの社会実験では、現金をもらえるからと言って、働かなくなる人など1人もいませんでした。
ベーシックインカムは、新たな挑戦・起業・引っ越しのチャンスを与えるものなのです。」

「ベーシックインカム」 実現の可能性は

和久田
「大胆な制度ですよね。」

高瀬
「ある意味、究極の『ばらまき』だと思うんですが、そこまでやって、ようやく就労支援や格差是正というところまでいく可能性があるということなんですね。
ただ、社会全体としてはどうなんでしょうか?」

豊永
「生活保護や失業保険の場合、多くの公務員が審査を行うので行政コストがかかるんです。
ところが『ベーシックインカム』の場合はお金を支給するだけです。
そのため、審査などはありません。
行政コストを大胆に削減できるのではないかと指摘する専門家もいるんです。
また、行政の支援の手が届いていない人たちにもお金が行き届くメリットを指摘する専門家もいます。」

同志社大学 山森亮教授
「日本には生活保護以下の人がたくさんいるにもかかわらず、保護・受給に至っていない方がいます。
800万人とも1,000万人ともいわれる方々が、かなり少ない所得で、国から制度的な給付を受けず頑張っている。
そういう方々の生活が、『ベーシックインカム』によってかなり改善する。」

和久田
「一方で、当然、制度にはデメリットもあるわけですよね?」

豊永
「ヨーロッパでも、効果に懐疑的な見方は当然あります。
例えば財源、お金はいったいどこから持ってくるのかという疑問。
また、お金をもらったら働かなくなってしまうのではないかという疑問もあります。
スイスでは去年6月に導入の是非をめぐる国民投票が行われたのですが、結果、こうした疑問から7割以上が反対し、否決されたわけです。
否決された。
ただ、移民排斥や格差拡大・貧困の問題などが、もう解消できないところまで来てしまっているのではという中、一見突拍子もない、非現実的な制度に見える『ベーシックインカム』を考え方の1つとして頭の片隅に入れる、そんな時代に来ていると感じました。」